新型コロナ、12.5億人に雇用リスク ILOが警告
感染収束後の回復 危機時の雇用確保がカギ

2020/4/7 23:00
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ILOは小売業などの雇用に与える影響が大きいとみる=ロイター

ILOは小売業などの雇用に与える影響が大きいとみる=ロイター

【ジュネーブ=細川倫太郎】国際労働機関(ILO)は7日、新型コロナウイルスの影響で、世界の労働人口の約38%にあたる12億5千万人が一時解雇(レイオフ)や給与削減のリスクに直面しているとの報告書をまとめた。放置すれば感染が収束期を迎えても経済回復の好機を失いかねない。ILOは大規模な「即時の支援策」を打ち出すよう警告。各国・地域は企業の給与支払いを肩代わりしたり、借金返済を一時猶予したりするなど公的支援を急いでいる。

世界の労働人口の約81%に相当する約27億人が感染拡大防止のためのロックダウン(都市封鎖)の影響を受けていると試算する。世界の雇用のうち、小売りや宿泊・飲食のほか、製造業、不動産が新型コロナによる雇用リスクが高いと分析。低賃金・低技能の職が多く、突然の収入減による打撃が大きいとした。地域別でリスクの高い業種のシェアが大きいのは、南北アメリカや欧州・中央アジアで、それぞれ4割を超す。

米国では3月後半の2週間で1千万人が失業保険を申請。英国でも低所得層向け給付制度の申請が3月中旬からの2週間で100万件弱に達するなど、コロナ問題はすでに雇用を直撃している。

国際通貨基金(IMF)は「危機の最中に実施される政策が経済回復が成功と呼べるものになるかを決定づける」として、雇用を守り、企業の倒産を防ぐ政策が急務だと訴える。コロナ問題のように行動制限などで人の流れが突如ストップし、需要が急速に消えるなかで、支援策は執行のスピードが問われている。

米国では中小企業に3500億ドル(約38兆円)の融資枠を設け、給与支払いを連邦政府が肩代わりする仕組みを創設。欧州連合(EU)も最大1000億ユーロ(約11兆円)の融資制度で、加盟国政府による所得支援を後押しする検討に入った。中国やロシアは借金の返済猶予などで企業の雇用維持を支える。

共通するのは、企業の負担軽減や資金繰り支援を通じて、雇用を守る姿勢だ。公費を使った企業支援はどこまで救済するのか線引きが難しいが、執行が遅れれば雇用の受け皿が失われる。EUの融資制度は加盟国の承認が必要。米国の中小向け融資枠も3日にようやく受け付けが始まった。コロナ対策は時間との闘いの様相を強めている。

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