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欧米は私権制限 外出禁止に罰則、日本と強制力で違い

新型コロナウイルスによる感染拡大を受け、欧米ではすでに外出禁止など私権制限を伴うロックダウン(都市封鎖)に踏み切った国が多い。欧州では市民の外出を禁止し、違反には罰則を伴うなど国による厳しい私権制限が主流だ。米国は住民への行動制限を各州知事が判断する。国が非常事態宣言も発動しているが、法的根拠にはあいまいさも残る。

欧州でも厳しい外出制限を導入するのがフランスだ。必須の買い物などを除き外出は禁止。3月17日の導入から約3週間たち、感染者の伸び率(前日比)は6日に約6%と、制限開始時の20%前後と比べ改善の兆しも見えつつある。

外出には自己申告の証明書の携帯が義務だ。違反すれば最大135ユーロ(約1万6千円)の罰金を科す。23日には外出禁止令を強化。30日以内に4度違反を重ねれば、3750ユーロの罰金や6カ月の禁錮刑を科す。首相に人の往来の制限や国家の物資管理の権限を与える厳しい措置の根拠が、3月24日施行の衛生緊急事態法だ。アルジェリア独立戦争の最中だった1955年成立の法律が手本で、戦時法制の色彩が濃い。

ただ4日から休暇期間に入ったパリなどでは気の緩みもみえる。「ウイルスは休暇を取っていない」。フィリップ首相はテレビで外出禁止の順守を呼びかけたが、無視して地方へ出かける旅行者も。仏政府は1日、正当な理由なく外出して罰金を科した事例が約35万9千件あったと発表。強制力ある措置でも人の動きを抑えるのは難しい。

イタリアは国内で初めて感染が確認された直後の1月31日に非常事態宣言を発動に踏み切った。コンテ首相は3月10日に全土での移動制限を始め、外出時には理由を明示する証明書の携帯を求めた。英国では23日に全土での外出制限を始めた。その後、違反者に警察が罰金30ポンド(約4千円)の罰則を科すことなどを定めた「緊急事態法」も成立した。

欧州のなかでも、ドイツは国による厳しい外出制限を講じない代わりに「接触禁止」に重点を置く。(1)3人以上の集会の禁止(2)同居する家族以外との接触を最小限に、最低1・5メートル離れる(3)宅配や持ち帰りを除く飲食店、理髪店など体の接触を伴うサービス業の営業禁止――などだ。違反時の罰則の有無や程度は州により異なる。

市民の外出を禁止するかどうかも議論されたが、私権制限への慎重論があり、一部の州による導入にとどまっている。ドイツの一連の措置は、2001年発効の感染保護法を根拠に、国と実施主体の州や特別市が合意して始まった。感染症の予防と拡大防止を目的に、当局はイベントや集会を禁止したり、学校や公共施設を封鎖したりできる。

連邦制の米国では私権制限の権限は州知事が握る。罰則を伴う外出制限、学校の休校、生活必需品を扱う店以外の店舗の閉鎖などを命じている。3月7日に非常事態宣言を出したニューヨーク州は、知事令で22日から原則100%の在宅勤務を義務付けた。企業が従わず、従業員に深刻な身体的危害を招く場合、最大1万ドル(約109万円)の罰金を科す。

 トランプ米大統領も3月13日に国家非常事態宣言を発動した。州政府や自治体のコロナ対策に連邦予算を支出できるようになったが、国民の私権の制限には踏み込むことはできない。他人と約1・8メートル以上の距離を保つ「ソーシャル・ディスタンシング」を求めた指針を発表したが、あくまでも「推奨」にとどまる。外出規制をめぐっては連邦政府の権限がどこまで及ぶかはあいまいで、強制力を伴う州間の移動制限は断念した。

世界で最初に感染が広がった中国湖北省武漢市では1月23日から都市封鎖に踏み切った。公共交通機関の運行を停止し、周囲の道路も閉鎖。居住区ごとに監視役を配し、市民の外出を禁じるなどの強硬措置を当局が一方的に導入した。

中国当局は8日、2カ月半ぶりに武漢市の「都市封鎖」を解除する。徹底的な封じ込めで、感染拡大の制御にメドがついたとの判断からだが、強権的な措置でも行動制限の解除にそれだけの時間を要した。外出自粛を国民に呼びかける日本の緩い行動制限で、5月6日までに感染終息へメドをつけられるかが問われる。

(白岩ひおな、パリ=白石透冴)

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