「反復運動」で買値の呪縛から自由になろう
積立王子への道(2)

積立王子
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2020/4/9 2:00
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投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

毎月1万円でいいんだ

コロナ・ショックで世界の株式市場は直近の高値水準から一時3割近くも下落した。下落相場を見て怖いと思うのはさらに値下がりすると感じるから。積み立て投資はその恐怖を容易に克服してくれる、優れものの行動手段なんだ。

まず毎月自分のお給料から無理しない範囲の金額を少しずつ拠出する方法なので、1回あたりの投資金額は、若いハジメくんならせいぜい1万~数万円程度だろうね。例えば毎月1万円としたら、1~2回飲み会に行ったくらいの額でしょ。つまりドキドキしない程度の金額を毎月投入するのだから、怖がる必要はないわけだ。

次に誰でも投資を始めるなら、できるだけ安く買いたいと思うでしょう。ところが安く買えたと思った途端翌日には価格がもっと下がっていたということは日常茶飯事なんだ。

僕だって値動きは当てられない

実は日々の値動きを的確に予測して当てることはプロの運用者だって難しいことなのだ。毎日の株価はなぜ頻繁に上がったり下がったり動くのか? 答えは単純で、市場参加者の多くが買いたいと思えば上がるし、売りたい人が多ければ下がる。

いわば人々のもうけたいと思う欲望と、損したくないという恐怖の感情が交錯した結果として値が動くんだ。つまり人々の非合理な感情の集積が値動きならば、それを合理的に予測して当てることはもともと無理だとわかるでしょ。

反復運動ならできるよね

だからこそ積み立て投資は、そうした日々の値動きを予測する必要がない賢明な方法なんだ。いつも同じリズムで同じ金額を買うという反復行動だから、値上がりしていればもちろんうれしいし、値下がりしたら「次は安く仕込めるぞ」とバーゲン気分で喜ぶことができる。積み立てを始めたらそのあとは相場が上がっても下がっても心乱れずにいられるようになるんだよ。

さよなら買値の呪縛

そして何よりの強みは「買値の呪縛」から逃れられることなんだ。多くの個人投資家は自分がいくらで買ったかを大いに気にする。だから価格が下がると「いくら損しているか」と、クヨクヨして慌てて売却して投資をストップしてしまう人が多い。今の下落局面でもきっとそうだろうね。

でも積み立て投資家は毎月同じ金額を買い続けるので、数カ月も経てば自分の買値が平準化され、それほど気にすることがなくなるんだ。そうなったらしめたもの。あとは心安らかに健全な長期投資家になれるわけで、泰然自若たる長期投資こそが将来しっかり資産形成するための最も重要な行動規範なんだ。つまり僕やハジメくんのような一般生活者にとって、本格的長期投資を実践するための最も有効な投資行動が「積み立て投資」なんだ。わかったかい? じゃ、次回はなぜ長期投資が重要なのかを勉強していこう。

中野晴啓(なかの・はるひろ)

セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

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