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新型コロナ、宗教行事で感染拡大

(更新)

宗教行事をきっかけに新型コロナウイルスの感染が広がる例が世界で相次いでいる。各国政府は大規模の集会を避けるよう求めるが、信仰心のあつさから集団礼拝を続ける動きは多い。4月下旬にはイスラム教徒が断食月(ラマダン)入りし、集団で過ごす機会が増える。イスラエルがユダヤ教の祝祭に備えて全土を封鎖するなど当局も警戒を強めている。

インドの首都ニューデリーで3月中旬に開かれたイスラム教の行事に6千人以上が参加し、感染が拡大している。インドのメディアによると、関連する感染者は1千人以上にのぼる。

保健当局は隔離措置をとるが、増加傾向は止まらない。行事に出席した信者がほかの都市に移動してウイルスを拡散する事例もあるようだ。インドネシアやマレーシアなど海外から加わった信者もおり、感染経路の把握は困難だ。

インドは3月25日から21日間の予定で、全土に封鎖措置を発動した。外出は原則禁止で、守らないと罰則を受ける。その前から大規模な集会を禁じる通達を出していたが、これに背く形でニューデリーでの行事は強行された。世界保健機関(WHO)によると、インドの感染者は全土封鎖を始めた3月25日時点で562人だったが、6日には4067人に増えた。

「神が与えた試練」。約2億7千万人の人口の大半がイスラム教徒のインドネシアでは新型コロナのまん延をこう捉える信者が目立つ。イスラム教徒には金曜日、モスク(礼拝所)に集まり大勢で密集し、祈る重要な行事がある。首都ジャカルタ特別州知事は3月中旬までに、金曜礼拝の自粛を呼びかけた。モスクでクラスター(感染者の集団)を発生させないためだが、徹底されていないようだ。

中東で最初に感染者が急増したイランでは、政府が3月中旬、中部コムや北東部のマシャドで著名なイスラム教の聖廟(せいびょう)やモスクの閉鎖を決定。反発する市民は撤回を訴え、コムの廟の前で気勢を上げたとされる動画がSNS(交流サイト)に投稿された。中東各地でモスクの閉鎖が相次ぐが、SNSには「礼拝できないぐらいなら、感染して殉教した方がましだ」という信者の声が流れ、感染抑止への効果は不透明だ。

世界で少なくとも約16億人いるイスラム教徒にとって、4月下旬から約1カ月続くラマダンは信仰心が一段と高まる時期だ。日没後は解禁された飲食を集団で楽しむ習慣がある。

イスラエルのユダヤ教超正統派の市民らの間でも感染が拡大している。政府の規制を無視して集団礼拝を続けていることが背景にある。問題視したイスラエルのネタニヤフ首相は6日、8~15日に予定されるユダヤ教の祝祭「過ぎ越しの祭り」に備え、全土を段階的に封鎖すると発表した。同国では既に9千人以上の感染が確認されており、感染抑制を急ぐ。

米国では3月29日、ルイジアナ、オハイオ、フロリダの各州でそれぞれ2千人以上が参加するキリスト教の教会での礼拝があった。トランプ米大統領は3月16日、10人を超える集会の自粛を求めたが、無視された形だ。

これとは別にフロリダ州の警察当局は3月30日、同州知事の外出禁止令に反して礼拝を続けたとして、教会牧師を逮捕。ルイジアナ州の当局も3月中旬、50人以上の集会禁止令を聞かずに礼拝をした牧師を逮捕した。

デニソン大(オハイオ州)のポール・ジュープ准教授らの3月23~25日の世論調査によると、米国の成人の約5分の1が、直近の日曜日を含め礼拝に参加していた。回答者の2割強が「ウイルスの脅威があるからこそと礼拝出席を(教会に)促された」と明かした。

(ニューデリー=馬場燃、千葉大史)

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