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旗ざおは持たない コロナ禍のゴルフ新常識
編集委員 串田孝義

2020/4/8 3:00
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響でゴルフのレギュラーツアーは男女とも中止を余儀なくされている。たとえギャラリーを入れず無観客としても、大会運営のためには一定数のボランティアを必要とし、テレビ中継には100人規模でスタッフが詰めかけるツアーは開催のハードルが上がってしまうのは確か。

9日開幕の予定だったマスターズは11月開催が発表された=AP

9日開幕の予定だったマスターズは11月開催が発表された=AP

3月31日~4月1日、茨城県の大平洋クラブ美野里コースで行われた日本プロ選手権(7月2~5日・栃木県日光CC)への出場をかけた最終予選会はその点、もともとギャラリーを入れないし、テレビ中継もない。主催する日本プロゴルフ協会(PGA)は日本最古のプロトーナメントの歴史を持つ国内メジャー本戦の開催を願い、徹底した感染予防策を施した上で119選手が挑んだ最終予選会を決行した。

まず選手や関係者には上陸拒否国に14日以内の滞在歴がないことを示す誓約書の提出を義務付け、37.5度を超える熱がある場合は大会本部に申し出るよう周知。出入り口などコース内のあちこちにアルコール消毒液を設置するのはもちろん、キャディーは選手との接触を避けるためにクラブの受け渡しはせず、カートの運転のみを担当した。

■運営関係者はマスク、手袋着用

屋内外にかかわらず、人と人が至近距離で一定時間以上交わらないよう「ソーシャル・ディスタンス」に注意深く配慮。クラブハウスの浴室は使用せず、ロッカーは最低限の着替えのみにとどめた。スコアカード提出所などの運営関係者はマスク、手袋を着用した。

「選手の職場を確保するという意味では少しでも職場を与えたいが、感染源になってもいけない」と、PGAの倉本昌弘会長も苦しい胸の内を明かすが、世界中に広がる自粛ムードを前にゴルフ競技の可能性をぎりぎりまで探っていく覚悟だ。

それでも首都東京の感染拡大が続き、外出・移動の自粛が広く求められる状況下に至っては「ゴルフは屋外スポーツだから(リスクは低い)」という主張もかき消えてしまう。何より選手が感染する危険を完全に払拭することは現実問題として不可能だ。10、11日の2日間大会だったシニアツアーの開幕戦、金秀シニア沖縄オープンは主催者からは開催支持があったものの、開幕前週になって延期を決めた。もともと50歳以上と新型コロナウイルス感染症ではハイリスクとされる中高年のシニアたちの健康、生命を守る、という話になればやむを得ない判断といえるだろう。

手引きカートで歩きが日本でも主流に?=ロイター

手引きカートで歩きが日本でも主流に?=ロイター

「ステイ・ホーム」を合言葉に外出自粛を呼びかける米国の感染流行地域ではゴルフ場も閉鎖らしいが、そこは広大なアメリカのこと、州ごと、各コースで対応は異なっていてフロリダ州などはゴルフのプレーもできるようだ。もちろん、コロナ対策を施した上でのこと。USGA(全米ゴルフ協会)のホームページを見ると、感染症の拡大防止に配慮した一時的なルール変更の適用をゴルファーに呼びかけている。

人が触った物には触れないようにする、というのが基本的な考え方。競技ゴルファーにとって大きいのは、選手のスコアをマーカーが記入するルールを厳格に守る必要はない、とされた点。スコア提出の前にスコアカードをやりとりしてサインする、といった作業を省いて、間接的接触のリスクを極力減らす狙いだ。

グリーン上の旗ざおを立てたままプレーするのは2019年施行の規則でOKとなっている。ただ、カップインしたボールを取り出すのに苦労して、ピンを抜いて拾い上げることがないだろうか。USGAは旗ざおに触らないで済むように最初から抜いておく、カップの中に物を詰めるなどして上げ底にして球を取りやすくすることも推奨する。バンカーの砂をならすレーキは撤去され、靴やクラブで砂をならすのも認めるとしている。

「ピンは抜かなくてもよい」から、「抜かない」時代へ=ロイター

「ピンは抜かなくてもよい」から、「抜かない」時代へ=ロイター

国家的な自粛ムードのなか、「ゴルフは大丈夫」と声高に叫ぶのははばかられる。ただ、米国に比べ狭い日本といえども全国一律でゴルファーがプレーを自粛する必要もあるまい、とも思う。ただ、ゴルフ場で感染しない、させないを徹底することは感染症が幅を利かす時代にゴルフというスポーツをゴルファー自身の手で守っていく必須の務め。ゴルフ規則の第1章「エチケット」をあらためて読むまでもなく、他人への心配りを忘れない洗練されたマナーを今こそ発揮すべき時だろう。

企業の接待文化と密接にかかわり発達した日本独自のゴルフの歴史があり、一概には言えないが、21世紀に入って度重なる感染症の流行を経験するにつけ、日本でもクラブハウスでの滞在時間を減らす動き、なかでも昼食休憩なしのスループレーがこれから広がりをみせていくのかもしれない。ルールも変わっていきそうだ。ピンは差したままでOKとなったけれど、抜いてはいけないというところまで進んでいくのが自然な流れに見える。

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