マスク4割増、除菌剤5割増… 家計にコロナ禍くっきり
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2020/4/7 11:29
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マスク不足が続く

マスク不足が続く

家計のコロナ対策出費が急増している。「マスク費」41%増、「除菌剤」53%増、トイレットペーパー47%増……。7日朝に発表された2月の家計調査では新型コロナウイルス関連費用が前年同月比で大きく膨らんだ。

まず問題のマスク。家計調査にはマスク単独の費目はないので、ばんそうこうや生理用ナプキンなども含んだ「保健用消耗品」全体の数字だが、2月の出費は前年同月比4割増の1256円と4ケタに乗せた。ばんそうこうなどへの出費が増えたとは考えられず「押し上げ分は『ほぼマスク』」(総務省)とみていい。

■高まる緊張、増えるマスク費

感染拡大との関連は日次の出費を見ても確認できる。それまで1日あたり30~40円程度だった保健用消耗品への出費は1月下旬、25日あたりを境に50~60円へと水準を切り上げ30日には107円と3ケタになった。

1月23日に中国で武漢市が封鎖され、日本人感染者第1号が出たのが28日。31日には世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言。高まる緊張と軌を一にして、2月になると店の棚からマスクが消え、いわゆる「転売ヤー」が横行。通販サイト「アマゾン」では1箱7800円と普段の10倍以上のマスクが登場した。

その後の法改正で高値転売は禁止されたが、異常事態の爪痕は1~2月の家計の姿にくっきりと残った。同じく品薄のアルコール除菌剤(費目は「他の家事用消耗品のその他」)や、SNS(交流サイト)で広がったデマをきっかけに在庫が払底したトイレットペーパーへの出費もマスク同様の軌跡を描いて膨らんでいる。

■コロナ下で姿を変える家計

「巣ごもりシフト」も顕著だ。食料への出費が7万5000円強と4%強増えた。総務省の担当者も「あまり見ない大きな伸び」という。代わりに減ったのが教養娯楽費(5%減)や交通・通信費(6%減)だ。1カ月後に発表される3月分の家計調査では、学校の一斉休校が始まった影響があらわれ、一段と巣ごもり化が進むはず。在宅人員が増えてかさむのが食費や光熱・水道費、通信費など。半面、出費機会の減った外食や教養娯楽費は減少間違いなしだ。つくづく、家計は生き物。時々刻々、事態の進行に応じて姿を変える。

4月の家計のテーマは、リモートワーク対応か。在宅で勤務がしやすくなるようなパソコン周り機器や家具などへの出費は増やす半面、減らされるのが出勤するが故に必要だった出費。女性にとっての代表例が化粧品だ。既にドラッグストアでのメークアップ化粧品が前年比3割減とのデータもある。ウェブカメラなら多少のごまかしは効くし、特にマスクに隠れる口紅は、付けない……まさに実感だ。

■次は収入減の大波

コロナの影響が費目ごとの「出入り」で済むうちはまだいい。これから確実にやってくるのが収入減の大波。足元でも家計の消費支出は2月まで5カ月連続で前年同月を下回り、力強さを欠く。雇用や収入への不安が増す中、「コロナ固定費」が加わった家計は一段と不要不急の出費を減らす。

政府は今回、減収世帯に対し30万円の現金給付を決めた。第一生命経済研究所の永浜利広・首席エコノミストは「通常2~3割が貯蓄に回る現金給付だがコロナの影響下で配られる今回は一段と消費喚起の効果は薄い」とみる。当座の安全網は無論必要だが、家計が直面しているのは収入減と費用増の長期戦。簡単な処方箋はない。まずはそれぞれの家計が現状把握を急ぎ、メリハリ出費を徹底するのが闘い方の第一歩になる。

山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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