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触れる名画、感じる質感 陶製ならでは(古今東西万博考)

1990年・大阪鶴見

花博で展示された「最後の晩餐」

1990年に大阪・鶴見緑地で開かれた「国際花と緑の博覧会(花博)」。パビリオンの中で目を引いたのは、屋外に西洋の"名画"を展示した「名画の庭」だった。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐(ばんさん)」(縦4.32メートル、横8.86メートル)やミケランジェロの「最後の審判」(縦14.3メートル、横13.09メートル)など4点。大きさや色彩、表面の質感、筆遣いまで原画を忠実に再現した作品を、来場者は触ることができた。陶板だったからだ。

名画のポジフィルムを陶板に転写し、焼成しては補色する作業を繰り返して原画に近づける。焼き物のため日光や風雨にさらされても変色も腐食もしない。制作したのは大塚オーミ陶業(大阪市)の信楽工場(滋賀県甲賀市)。絵画庭園の総合プロデューサーだった作家の故・堺屋太一さんが、西洋絵画の複製陶板作りに取り組む同社に企画を持ち掛け、展示が実現した。

当時、作品制作に携わった大杉栄嗣社長は「あくまでレプリカだが」とした上で、「美術館など屋内展示に限られる絵画を屋外の公共空間で鑑賞できるようにした点で、絵画の新しい楽しみ方を伝える『媒体』の役割を果たしたのではないか」と振り返る。その理念は98年設立の大塚国際美術館(徳島県鳴門市)にも引き継がれた。複製陶板は記録保持性の高さも特徴の一つだが、名画や文化財をリアルな「物」として見て触れることで「子どもへの教育という面でも一役買えるはず」と大杉社長は期待する。

花博に出品された複製陶板4点は、94年に開館した「京都府立陶板名画の庭」(京都市)で屋外展示されており、今も当時のままの姿で訪れる人を楽しませている。

(松本勇慈)

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