バーチャル旅行のすすめ 3つのアイデアで旅気分満喫

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言などを受け、ゴールデンウイークの旅行をキャンセルしたり、外出を控えたりしている人も多いだろう。人混みなど「3密」を避けることが感染阻止には有効だが、これまで気ままな旅をしてきた身には、この閉塞感が辛い。ここは一つ、発想を変えて、家に居ながら旅の気分が味わえるちょっとしたアイデアを紹介してみたい。
家で椅子にゆったりと腰かけて、ガイドブックや観光ビデオなどを眺めながら旅気分を味わう人たちを"アームチェア・トラベラー"という。ガイドブックのページをめくりながら、次はどこへ行こうかといった候補地選びに加え、知らなかった歴史にひかれたり、有名観光地の周辺にとっておきの場所を見つけたり。バーチャルな旅ならではの発見が実は意外に楽しかったりする。
海外旅行ガイドブックの「地球の歩き方」が2020年5月31日までの期間限定で主要5シリーズ全185タイトルの電子版読み放題サービスをAmazon Kindle Unlimitedを利用して行っている。Amazon Kindle Unlimitedは、初回30日間が無料(以降は月額980円=税別)なので、このサービスを利用すれば、お金をかけずに旅気分が味わえる。
JTBパブリッシングも「るるぶ情報版」国内・目的別・海外シリーズ電子書籍200点を2020年4月26日までの期間限定で同社の出版情報サイト「旅の本棚」掲載の「るるぶ情報版」の「試し読み」機能で全ページを公開している。
情報量たっぷりの旅行ガイドは、次の旅の目的地を調べるつもりで見始めたつもりが、気がつくと何時間も読みふけってしまっているなんてことも。リアルな旅行に出かる時も、バーチャルな旅を始める際にも、もってこいのアイテムだ。

ホテルを訪れるとふんわりと漂ういい香り。そんなホテルのアロマに癒(いや)され、その香りを感じると、滞在の記憶が蘇(よみがえ)る、という人もいるだろう。ルームスプレーや香りを拡散させるディフュザー、バスアメニティなどにも共通の香りを用い、それらを商品化しているホテルも少なくない。
訪れた際の安心感や再訪による懐かしさを感じてもらおうと世界中、同じ香りを採用しているのがウェスティンホテルだ。ホワイトティー(白茶)の茶葉をベースに杉のウッドチップやゼラニウム、フリージアの花々、それにバニラやムスクの香りが深みを与え、とても落ち着く香りになっている。
世界約40カ国に展開中のウェスティンホテルは、すべてこのホワイトティーの香りを採用しているという。ヨーロピアンな空間がラグジュアリーな東京・恵比寿の「ウェスティンホテル東京」では、ロビーの香りとしてまたアメニティとして、さらにファブリックリフレッシャーとして採用している。
ホテルで購入する以外にも、製造元のESTEBANオンラインショップで購入できる。消臭目的でカーテンやソファなどに吹き付けて使うファブリックリフレッシャーは、45%がエタノールなので抗菌作用も期待できる。
ウェスティンホテルは、ゲストに健康で心地よい滞在を提供する「ウェスティン・ウェルビーイング」をコンセプトに掲げている。その中でよりよい睡眠を提供するスリープ・ウェルで、大事なヘブンリー・ベッドや寝具も購入できる。旅先で体験するようなホテルの香りと寝心地が自宅でも味わえるので、それはそれでまた心地よい。

自宅の風呂で気軽に日本各地の温泉気分が楽しめるのが、入浴剤の「日本の名湯」(バスクリン:医薬部外品)だ。熱海、別府、那須塩原など全部で17種類あり、にごり湯と透明のお湯の2タイプある。30gの分包が10種又は7種14包みのセットになった詰め合わせだと、「今日はにごり湯で別府の湯」「明日は透明湯の熱海」と毎日、国内各地の湯巡りをしているようで楽しい。
この「日本の名湯」は、それぞれの温泉地で湯に含まれる上位3成分を配合比率に合わせて作られている。そのため強酸性の草津温泉は風呂釜に合わないので商品化されていないのだという。開発にあたっては成分を合わせるだけではなく「しっかり」か「さらさら」かなど湯の感触にもこだわっている。深い緑の山間部にある温泉や、川沿いのせせらぎが聞こえる温泉などその温泉地の土地柄や情緒を湯色や香りで表現しているという。
入浴剤なので疲労回復や肩こり、冷え症、荒れ性など一定の効能も期待できるため、自宅でゆったりと癒しのひとときが過ごせる。入浴剤は、温泉とまったく同一とはいかないが、たとえば乳頭なら「癒しの森と湯めぐりの里:乳頭山からの涼風を運ぶ、心落ち着く緑葉の香り」と入浴剤の袋にあり、十和田八幡平国立公園にブナの原生林に囲まれた乳頭温泉郷を思いながら、湯につかれば、ひと味違った温泉気分に浸かれそうだ。
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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