メキシコ、新型コロナで企業対策乏しく 高齢者ら重視

2020/4/6 15:51
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【メキシコシティ=宮本英威】メキシコのロペスオブラドール大統領は5日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対策を公表した。治療のために6425床を確保し、すべての高齢者を対象に2カ月分の年金を前倒しで支給する。ただ経済界が求めた税負担の軽減など企業支援策は見送った。2020年は大幅なマイナス成長になるとの見方が強まっている。

5日、メキシコシティの国立宮殿で演説するロペスオブラドール大統領=AP

メキシコでは5日時点で、新型コロナの感染者数は2143人、死者は94人となった。前日よりそれぞれ253人、15人増えた。3月下旬から感染が広まり、足元でペースが加速している。

ロペスオブラドール氏は5日の演説で、新型コロナでは「最も弱い人々が影響を受ける」と述べ、高齢者や貧困層への対策を重視する意向を示した。年金の前倒し支給は420億ペソ(約1800億円)の規模になる。68歳以上の高齢者800万人以上と、80万人の障害者が対象だ。学生向けの奨学金も拡充し、経営規模が小規模な商店などへの融資も手厚くする。

ただ企業向け支援には消極的だ。代表的な経済団体の企業家調整評議会(CCE)は3月31日、民間企業の資金繰りを確保するため、納税の繰り延べなどを求める声明文を公表したが、政府は課税に関する明確な対応方針を示していない。

メキシコ経営者連合会(COPARMEX)のグスタボ・デオジョス会長は、大統領の演説を受けて「新型コロナによる経済危機に直面しても適切な施策を何も表明しなかった」と、ツイッターに投稿して批判した。

政府は民間企業に対して、感染を抑えるために不要不急の産業の稼働を停止するようにも求めている。日本でも有名な「コロナビール」を製造するグルポ・モデロは5日から工場の稼働や流通を止めた。

さらに輸出の8割を依存する米国経済の悪化も、メキシコ経済の足を引っ張る。中央銀行が1日、民間金融機関が予測した20年の実質経済成長率をまとめたところ、マイナス3.99%となった。米バンク・オブ・アメリカは2日、マイナス8%に落ち込む可能性があるとの予測を出した。

18年12月に大統領に就任したロペスオブラドール氏は左派として知られる。工事が途中まで進んでいた新空港の建設を中止するなど、民間企業や外資に厳しい姿勢だ。19年の成長率はマイナス0.1%と、09年以来のマイナス成長だった。

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