コロナ院内感染疑い、全体の1割 検査徹底で封じ込めを

2020/4/4 21:49
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院内感染が起きたとみられる永寿総合病院(3月25日、東京都台東区)

院内感染が起きたとみられる永寿総合病院(3月25日、東京都台東区)

各地で院内感染が疑われる新型コロナウイルスの集団感染事例が相次いでいる。厚生労働省によると、同一の場所で5人以上の感染者が発生したクラスター(感染者の集団)の約3割を医療機関が占め、感染者のうち1割前後が院内感染である可能性がある。医療体制の崩壊を招きかねない医師や看護師らの感染を防ぐには、入院初日にコンピューター断層撮影装置(CT)を撮るなどの対策が求められそうだ。

厚労省によると、3月31日時点で、全国14都道府県に26カ所のクラスターが発生し、このうち医療機関は9カ所だった。同省は具体的な施設名などを公表していないが、クラスターの認定がなくても院内感染が起きたとみられる事例は複数あり、実際の発生数はさらに多い可能性が高い。

院内感染による感染者については、これまでに判明しているだけでも200人を超える。全国で約3000人いる感染者の少なくとも1割前後を占める可能性がある。

院内感染が及ぼす影響は大きい。医師や看護師が感染すれば医療サービスの提供が難しくなり、施設も消毒のための閉鎖を余儀なくされる。入院中の高齢者ら重症化のリスクが高い人に感染が広がる恐れもあるほか、負担のしわ寄せがいく近隣の病院でも、感染防御のミスが生じるという負の連鎖も起こりうる。

封じ込めには徹底した検査や防護措置が必要だ。

2月中旬、和歌山県湯浅町の済生会有田病院で院内感染が判明した。県は即座に外来の停止や病院関係者へのウイルス検査の実施などを決めた。

当初、国は検査の対象を中国・湖北省からの帰国者やその関係者としていた。しかし、有田病院では、症状のない人も含めて検査を実施し感染者を着実に把握、封じ込めを図った。新たな感染者が2週間発生していないことを確認し、判明から約3週間後の3月4日には通常の外来や救急業務を始めるなど「収束宣言」にこぎ着けた。

もっとも、こうした"成功例"はごく一部とみられる。新型コロナは無症状の感染者も多く、院内感染が判明したときには、感染者が既に周辺の人と濃厚接触している可能性が高い。

海外でも死者が1万4千人を超えたイタリアでは、これまでに医療関係者60人以上が院内感染で死亡したとされる。スペインでも医師らの感染が相次ぎ、新型コロナの患者全体の15%を医療関係者が占めるという。

院内感染の経路は(1)感染した患者がウイルスを院内に持ち込む(2)入院患者が医療従事者にうつす(3)院内の医療従事者どうしで感染する――といった流れが考えられる。医療崩壊を招きかねない新型コロナの院内感染をいかに防ぐか。

けいゆう病院(横浜市)で院内感染対策を担当する菅谷憲夫・感染制御センター長は、(1)について「他の病気で入院する人が感染していると、誰も気付かないうちに院内感染を引き起こす恐れがある。入院の初日にレントゲンやCTを撮るといった対策も検討すべきだ」と指摘する。

(2)は医師らが医療用のゴーグルやガウン、手袋を着用することなどで防ぐ。(3)について、国立病院機構本部総合研究センター(東京・目黒)の伊藤澄信・総合研究センター長が抑止の鍵と見るのが、「密閉」した空間に多人数が「密集」し、「密接」した距離でしゃべるという「3密」だ。

伊藤センター長は「医療従事者は患者に対しては緊張して臨むが、安全区域では気が緩みがちだ。自分や目の前の同僚が感染しているかもしれないという意識を持ち、『3密空間』を避けて行動することが必要になる」と強調している。

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