カシューナッツ、17年連続世界一は日本に身近なあの国

2020/4/6 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

ベトナムの主要輸出品目と言えば2018年の総輸出額の2割を占めるスマホ(携帯電話含む)と同13%を占める縫製品。この二大輸出品に比べると金額こそ小さいが、世界ナンバー1の生産量を17年間守ってきたのがカシューナッツだ。

ベトナムでは殻が付いたままのカシューナッツが多い(ハノイ)

ベトナムでは殻が付いたままのカシューナッツが多い(ハノイ)

国連食糧農業機関(FAO)によると、18年のベトナムのカシューナッツ(殻付き)生産量は前年比23%増の約266万トン。2位のインド(約79万トン)に3.4倍の差を付ける圧倒的王者。18年は生産量の14%に当たる約37万トンが輸出された。ベトナムカシューナッツ協会によると、輸出量も世界一だ。

ベトナム最大のカシューナッツの産地は南部ビンフオック省。ホーチミン市の北側に位置し、西はカンボジアのフン・セン首相の故郷、コンポンチャム州に接している。同省を歩くと、たくさんの黄色い実を付けたカシューナッツの木を見かける。この木は南米原産で、ピーマン状の実は「カシューアップル」とも呼ばれる。その下部にある勾玉(まがたま)状の種子がカシューナッツだ。

ベトナムは1980年代前半から国を挙げてカシューナッツ作りを進めてきた。熱帯で湿度が高く、赤土が多いビンフオック省、ドンナイ省などが生産を推進する地域に指定され、越政府は種子や肥料を配ったり、海外から学んだ栽培技術を教える講習会を開いたりした。

ベトナム有数のカシューナッツ生産企業ラフーコの工場(ロンアン省)

ベトナム有数のカシューナッツ生産企業ラフーコの工場(ロンアン省)

85年に設立したカシューナッツ大手のラフーコ(ロンアン省)は草創期に政府と協力してカシューナッツの産業化に取り組んだ。ビンフオック省などに約620ヘクタールの有機栽培の畑を持っており、米国や欧州連合(EU)の衛生管理基準を満たしているという。

同社の親会社、パン・グループの副会長、チャ・ミー・グエンさんは「ベトナムのカシューナッツ産業がここまで成長するのは大変だった。品質と商品力を高め、世界市場をもっと開拓したい」と話す。昔は輸出品の8割が焼いただけのカシューナッツだったが、より高く売るために最近は味付きの製品を増やしている。蜂蜜、ココナツ、チリ味などが人気だ。

カシューナッツは果実を集め、種子部分を取り、硬い殻を割って内部のカシューナッツを取り出すなど人手に頼らなければいけない作業も多い。自動化は進んできているものの、ベトナムの安い人件費に支えられている面はある。20年の最低賃金上昇率は平均5.5%と13年(17.4%)などと比べれば落ち着いてきたが、効率化して人件費を下げる努力が欠かせない。

ベトナムのスーパーや市場に行くと、多くのカシューナッツが売っている。薄皮が付いた状態の製品が多く、むいてあるものに比べるとむきたてで食べる分、食感が良い。価格は100グラム当たり200円前後と日本の半額以下で買える。ベトナムの庶民にはやや高く、安い落花生のほうが人気がある。

「カシューナッツ」と言ってもベトナムではまず通じない。ベトナム語の「ハット・ディエウ」を覚えておくと便利だろう。

(企業報道部次長 富山篤)

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