(話題の株)デンカ 「アビガン」原料生産でストップ高
3日の東京株式市場で中堅化学、デンカの株価が急伸した。制限値幅の上限(ストップ高水準)となる前日比500円(24%)高の2581円まで上昇して取引を終えた。3月6日以来約1カ月ぶりの高値だった。2日の取引終了後に新型コロナウイルスへの治療効果が期待される抗インフルエンザ薬「アビガン」の原料生産を始めると発表。個人投資家を中心に買いを集めた。

3日の株価上昇率は東証1部で首位だった。売買高も前日の38倍に膨らんだ。
デンカは合成ゴムや電動車関連製品、検査試薬などを手掛ける。政府の要請を受け2日、アビガンの原料「マロン酸ジエチル」を生産すると発表した。2017年に生産を休止した新潟県の設備を20年5月に再稼働させる。「(新型コロナの影響で)主力銘柄が軒並み低迷するなか、材料株としての色彩が色濃く出た」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジスト)
世界シェアトップを占める合成ゴム「クロロプレンゴム」の需要が低迷し、3月には20年3月期の連結業績予想を下方修正。純利益が前の期比12%減の220億円となったもようだとしていた。従来予想は4%減の240億円だった。業績予想の修正後は株価も軟調に推移していた。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「新型コロナの影響が株価に出始める前の3000円前後までは買いが続く可能性がある」とみる。一方で「アビガンが正式に新型コロナの抑制薬として認められない限り、値上がりは一過性に終わる」(国内証券)との声も聞かれた。