新型コロナで支払い猶予 税・スマホ・公共料金など

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2020/4/4 2:00
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納税猶予制度の適用を受けるには管轄の税務署で手続きが必要だ

納税猶予制度の適用を受けるには管轄の税務署で手続きが必要だ

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、税金や社会保険料の支払いが難しくなる個人、中小事業者を対象に政府が特例制度の創設を検討している。来週にも緊急経済対策に盛り込む。ただ、税金や社会保険料の支払いが困難になった場合は現在も、支払いを1年間猶予する制度がある。どんな制度か確認しておこう。

■猶予期間は原則1年

「期限までに税金を払えないがどうすればいいのかという相談が増えてきた」。都内で開業する税理士の岡田俊明氏は心配する。

新型コロナの感染拡大を受けて、所得税と消費税の申告期限はそれぞれ3月16日、同31日から、ともに4月16日に延長された。問題は16日が税金の納付期限でもあることだ。

例えば個人事業者が100万円の所得税を申告・納付するとしよう。ところが老親が新型コロナに感染して医療費などがかさみ、100万円のうち40万円は払えるが、残り60万円が一度に払えそうにないときはどうすればいいか。

このとき利用できそうなのが現行の納税猶予制度だ(表A)。本人や家族が感染したり、事業の休廃業で損失がかさんだりして所得税や消費税などの納付が困難になった場合に納付を猶予する。

猶予は税金を減免するものではないが、税金を一度に納められない事情がある場合、「猶予期間中に分割払いするなどで完済していく制度」(税理士の藤曲武美氏)。期間は原則1年間。猶予を受けるには管轄の税務署で申請手続きをする必要がある。

ただ、現行制度では猶予期間中に延滞税がかかる場合がある。そこで政府は特例制度をつくり、延滞税を全て免除し、担保の差し入れも不要にする方向だ。財産目録や収支明細書などの提出が必要な場合があるが、こうした手続きも簡素化される見通しだ。

■社会保険料にも同制度

労使が折半で保険料を負担する厚生年金保険や健康保険も国税の猶予制度にならう仕組みがある。企業経営が厳しくなり、一時的に厚生年金保険料などを納められない場合は、1年間の猶予がある。特例制度が成立すれば猶予期間中に生じる延滞金や担保の差し入れも不要になる見込みだ。

自営業者や、厚生年金に加入していないパート・アルバイトなどが加入する国民健康保険や国民年金にもそれぞれ独自の保険料徴収の猶予制度がある。

国保の保険料の徴収猶予期間は自治体ごとに異なるがおおむね6カ月~1年だ(表B)。65歳未満で雇い止めなどの理由で失業し、収入が急減した場合、保険料を減額する制度もある。所得が7割減ったとみなして改めて保険料を算出。減額された保険料は原則として失業(離職)した翌日が属する月から翌年度末まで適用される。

75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度、介護保険にもそれぞれ保険料の徴収猶予や減免措置があるので、自治体の窓口で相談しよう。

国民年金は収入の減少や失業などで保険料を納付することが困難になった場合に、保険料の免除や納付猶予を受けられる仕組みがある(表C)。住んでいる自治体で申請する。保険料の免除は全額免除から4分の3免除、半額、4分の1免除の4段階。今受け付けているのは今年6月分の保険料までとなっている。

保険料を払えず未納としてしまうと、未納期間は年金の受給資格期間に算入されないが、免除の場合は期間に算入される。免除期間から10年以内に保険料を追納すれば、将来受け取る基礎年金額を増やせる。

■年金の受給手続きにも配慮

一方、年金受給者が引き続き年金を受け取るのに、誕生月の月末までに「年金受給権者現況届」や「生計維持確認届」「障害状態確認届」の提出が必要な場合がある。

通常は期限までに提出しないと年金の支給が止まるが、2月末日以降に提出期限がある届け出書の提出がなくても当面の間、年金及び年金生活者支援給付金について支払いをやめない取り扱いとなっている。

公共料金などの支払いが困難になった場合も申し出により期限を繰り延べる措置が発表された(表D)。電気・ガスは5月分までの料金の支払いをそれぞれ1カ月繰り延べ。水道・下水道料金は自治体によって異なり、例えば東京都、横浜市は最長4カ月間支払いを延期できるとする。

スマートフォンなど携帯電話料金の支払いはNTTドコモKDDIソフトバンクの大手3社が5月末まで繰り延べている。

生命保険会社は保険料の支払いや満期を迎えた保険の更新手続きを最長6カ月間延長。損害保険会社も自動車保険や火災保険、傷害保険などの保険料支払いと契約更新手続きを5月末まで延期できるようにしている。

(川鍋直彦、後藤直久)

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