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九州・沖縄の非製造業、40年ぶりの悪化幅 日銀短観

新型コロナウイルスの感染拡大で九州・沖縄企業の景況感が急速に悪化している。日銀福岡支店が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)で、非製造業の業況判断指数(DI)が前回2019年12月調査から18ポイント低下しマイナス4となった。悪化幅は第2次オイルショック以来およそ40年ぶりの大きさ。製造業もマイナス5と、7年ぶり低水準に沈んだ。先行きも幅広い業種で一段の悪化を見込んでいる。

新型コロナウイルスの感染拡大で、普段より旅行客の姿が少ない(1日、JR博多駅)

DIは景況感が良いと答えた企業の割合から、悪いと回答した割合を引いた値。九州・沖縄の全産業では前回調査から13ポイント悪化し、マイナス4となった。

インバウンド(訪日外国人)の急減に外出やイベントの自粛が追い打ちをかけ、非製造業では全ての業種でDIが悪化した。宿泊・飲食サービスはマイナス59にまで沈み、熊本地震の発生後を下回って過去最低となった。回答企業のほぼ半数で「景況感が悪い」と回答したという。

運輸・郵便は25ポイントの悪化、対個人サービスも23ポイントの悪化と大幅に低下した。

「驚きと不安でいっぱい。(リーマン・ショックなど比較しても)未曽有の事態だ」。切符販売などの収入が3月、前年比半減したJR九州の青柳俊彦社長はこう嘆く。

製造業でも悪化業種が過半を占めた。DIの悪化幅が大きいのは、物流停滞のあおりを受ける化学や鉄鋼、土産物や業務用食材の需要が減った食料品。

輸送用機械は16ポイント改善したが、造船が堅調だった影響が大きいという。自動車を切り出せば現状のDIはマイナス6、先行きはマイナス41となる。

トヨタ自動車九州は中国での販売低下を受け、4月に宮田工場(福岡県宮若市)の一部生産ラインを9日間停止する予定だ。福岡支店の宮下俊郎支店長は「自動車産業の裾野は広く部品メーカーから素材にも影響が広がる恐れがある」と指摘する。

3カ月先の見通しは非製造業で12ポイント悪化、製造業も10ポイントの悪化と一段と悪化する予想だ。半導体市況の回復期待がある電気機械を除く全業種で悪化を見込む。

宮下支店長は「終息に時間がかかれば、個人消費や設備投資など経済活動の本質部分にも影響が出る可能性がある」と警戒を強めている。

調査は2月25日から3月31日に実施し、九州・沖縄の1124社から回答を得た。

       ◇

日銀那覇支店が発表した3月の沖縄県内の短観は全産業のDIがマイナス1と28ポイント低下した。マイナスは2012年3月調査(マイナス2)以来、8年ぶり。低下幅は沖縄海洋博開催の反動が出た1975年11月調査(現在の12月調査、29ポイント低下)以来、およそ44年ぶりの大きさ。新型コロナの影響で観光や消費関連など主力の非製造業のDIが大きく落ち込んだ。

九州・沖縄の日銀支店長、懸念の声相次ぐ

1日発表した日銀短観で、九州・沖縄各地の日銀支店長からも景気の現状や先行きに懸念の声が相次いだ。

那覇支店の桑原康二支店長は「観光などの需要は瞬時に蒸発したような状態だ。雇用や所得への悪影響も出始めた」と話した。熊本支店の中村武史支店長も「小売りや運輸、宿泊や飲食業など幅広い業種で業況が悪化している」と説明した。長崎では宿泊・飲食サービスがマイナス67と、九州・沖縄(マイナス59)を下回った。下田尚人支店長は「消費者のマインド動向を注視していく」と話す。

影響は製造業にも及んでいる。北九州支店の梅田秀彦支店長は3月下旬から自動車や鉄の生産が「弱めの動きになっている」とする。

先行きについても厳しくみる。大分支店の森毅支店長は「企業の先行きに対する見通しが非常に厳しく、実体経済への下押し圧力が一段と高まる可能性がある」と指摘した。

ただ、景気回復の基盤は崩れていないとの見方もある。新型コロナ終息後について、鹿児島支店の上口洋司支店長は「多くの企業は今回の事態に直面しながらも雇用調整を極力回避する姿勢を崩していない。2020年度の設備投資計画も前年度を上回る高水準だ。コロナの終息を迎えた後に、再び景気回復軌道に復していくことも十分に期待できる」と述べた。

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