近畿景況感、3月短観で全国超す悪化 訪日客依存が影

2020/4/1 20:26
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関西企業の景況感の悪化が鮮明だ。日銀大阪支店が1日発表した近畿2府4県の3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、全産業の業況判断指数(DI)はマイナス10で前回の2019年12月調査を12ポイント下回った。マイナスに転落したのは13年9月以来。悪化幅は全国(8ポイント)より大きい。新型コロナウイルスの感染拡大で、底堅かった非製造業の景況感も急速に落ち込んでいる。

DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。

全産業DIの悪化は5期連続で、落ち込み幅はリーマン・ショック後の09年3月以来の大きさだ。今回の特徴は非製造業のDIがマイナス3と14ポイント悪化し、13年9月以来のマイナスとなったことだ。インバウンド(訪日外国人)を支えにプラスを維持してきたが、新型コロナの感染拡大で大きな影響を受けた。

宿泊・飲食サービスはマイナス55と37ポイント悪化。たこ焼き屋店などを経営するくれおーる(大阪市)の加西幸裕社長は「観光客の多い道頓堀店を中心に売り上げが減っている。店を潰さないように経営努力するしかない」と話す。3月の売り上げは前年同月比で6割ほど減っているという。くら寿司でも首都圏での外出自粛要請の影響などで3月は客数が減少した。

帝国ホテル大阪(大阪市)では3月の平均客室稼働率が前年同月に比べて55.5ポイント低下の26.9%。訪日客、国内客ともに大幅な減少となった。4月以降もグループ客などの予約は少なく「新型コロナが終息しない限り稼働率は今の水準が続きそう。緊急事態宣言やロックダウン(都市封鎖)が出れば最低限の営業に絞らなければならない」と危機感を募らせる。

小売はマイナス17と12ポイント悪化した。関西の主要百貨店4社の3月の売上高(速報値)は9店舗全てで前年同月と比べて2桁減だった。免税売上高の落ち込みが前年同月比9割以上落ち込み、過去最大の減収幅となった店舗も多かった。

免税売上高比率が4割ほどある大丸心斎橋店(大阪市)の3月の売上高は63%減で過去最大の減少率となった。特に免税売上高は98%減。化粧品や高級ブランドの販売減が大きかったという。高島屋大阪店(同)も免税売上高は96%減で過去最大の落ち込みだった。外出自粛でアパレル関連の売り上げは5割以上落ち込んだという。阪急うめだ本店(同)は売上高が41%減、あべのハルカス近鉄本店(同)は38%減だった。

一方、ホームセンターを展開するコーナン商事は3月の既存店売上高が前年同月比9%増の見込みだ。ウエットティッシュなどを含む日用品の売上高は約2割増えた。関西を中心にドラッグストアを運営するキリン堂ホールディングスはマスクやアルコール消毒液、ハンドソープの販売が伸びているという。

製造業のDIは10ポイント悪化のマイナス16。世界的な自動車販売の低迷で鉄鋼や非鉄金属、化学などが軒並み悪化した。米中貿易摩擦の緩和などを背景に電気機械はマイナス5と8ポイント改善したが、3カ月先の先行きDIはマイナス19を見込む。

半導体材料の「ウエハー」を洗浄する装置を手がけるSCREENホールディングスの広江敏朗社長は「2~3月は全体としてマイナスになりそうだ」と指摘。半導体事業については「期ずれなどが発生しているケースもあるが、受注が失われている状況ではない」との見通しを示した。

荒木秀之・りそな総合研究所主席研究員 今回の短観では業況判断が悪化したが、企業の売り上げ・収益計画は大きく落ち込んでいない。3月半ば以降の外出手控えや欧米企業の生産活動の停止などが十分に織り込めていないためだ。

関西を代表する電気機械業などでは1月以降の中国のサプライチェーン寸断を懸念し、輸出を増やした企業もあるというが、先行きの生産動向は不透明だ。6月以降の短観では売り上げ・収益計画の下振れや、設備投資の見直しの動きが出てくる可能性があり注意が必要だ。

 吉村晃・三菱UFJ銀行経済調査室調査役 関西経済はインバウンド関連への依存度が高く、底堅かった非製造業で訪日外国人の大幅減や外出自粛の影響が出ている。足元の景況感はさらに悪化している。設備投資計画は全国に比べ高い伸びだが、下方修正される可能性がある。

4~6月に新型コロナが終息しても景気が上向くのは夏以降だろう。感染拡大による海外需要の減少で景気が一段と下振れするリスクはある。ただ、リーマン・ショック時と比べ人手不足感が強いのと円高圧力が小さいのは支えだ。

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