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中国5県の景況感、マイナスに 7年ぶり低水準

中国地方の景況感が悪化している。日銀が1日発表した5県の3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が全産業でマイナス1となった。前回(2019年12月)から9ポイント低下し、5四半期連続で悪化。マイナスになるのは13年6月以来だ。新型コロナウイルスの流行を受けて幅広い業種で企業マインドが冷え込んでいる。

業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。全国の全産業DIは8ポイント悪化のマイナス4で、中国5県での落ち込み幅は全国を上回った。

中国5県の製造業は9ポイント低下のマイナス8。これまでも米中貿易摩擦を背景に製造業DIは悪化が続いていたが、ここにきて新型コロナの影響が顕在化している。世界的な感染拡大で国内外の需要が減少しているほか、中国からの部品調達が滞るなど供給面でも苦戦を強いられている。

業種別では紙・パルプが44ポイント低下のマイナス15と、最も落ち込み幅が大きかった。電気機械は11ポイント、汎用・生産用・業務用機械は9ポイントそれぞれ低下した。

自動車は1ポイント低下のプラス4。マツダが発表した2月の世界販売台数は前年同月比14%減となるなど、新型コロナの影響が既に足元で出始めている。3月以降も欧米などの主要市場で大幅な需要減が見込まれており、先行きDIは23ポイント低下のマイナス19と、さらなる悪化を見込む。

マツダは国内外の工場で生産を絞り始めており、影響は県内外の下請け企業にも波及しそうだ。今回調査での企業からの回答の多くは、マツダが生産調整を発表した前のタイミングになる。6月短観ではマイナス19より悪化する可能性が高い。

他の主要企業でも先行きを懸念する見方が広がっている。化学は横ばいのマイナス2となったが、先行きは6ポイントの悪化を見込む。日銀下関支店の竜田博之支店長は「中国国内の生産回復の遅れから、これまで堅調だった化学の一部企業で中国向け輸出が減少し、生産調整の動きがみられる」と指摘する。中国の動向次第では生産動向への影響が長引く可能性もある。

製造業と比べてこれまで底堅く推移してきた非製造業にも、新型コロナの影響は色濃く出ている。中国5県の非製造業は9ポイント低下のプラス5となった。イベントの中止や外出の自粛に加え、訪日客数の大幅な落ち込みが響いている。宿泊・飲食サービスは45ポイント低下のマイナス33、運輸・郵便は23ポイント低下のマイナス16となった。

松江市でホテルを手掛ける浅利観光の植田祐市社長は「2月下旬から急速に予約キャンセルが相次いでいる」と話す。政府がイベントの自粛を要請したことで、会議やスポーツイベントなどが中止・延期になったことが重くのしかかる。同様の動きは広島や岡山でも広がっており、宿泊・飲食の先行きDIはマイナス58とさらに悪化する見通しだ。

企業マインドが急速に落ち込むなか、設備投資計画への波及も懸念されている。20年度は全産業で前年度比5%減となる見込み。19年度実績見込みが8%増えたことから、反動減が出る面もある。

一方、19年度実績見込みは前回から5ポイント下方修正となった。工作機械メーカーの滝沢鉄工所からは「18年10月ごろから世界的に受注が低調。新型コロナの影響で先行きは見通しづらい」(林田憲明専務)との声もある。企業の収益計画次第で「設備投資を絞ろうという動きが出てくる可能性も高い」(日銀広島支店の浜田秀夫支店長)。

全産業の先行きDIはマイナス17とさらなる悪化を見込む。新型コロナの終息が見通せないだけに、企業マインドの悪化傾向はしばらく続きそうだ。

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