「おうちご飯」増える今こそ 15分で作れる簡単レシピ
プラス1創刊20周年
NIKKEIプラス1で2003年3月から掲載が始まったベターホーム協会の「かんたん美味」は、「身近な材料で手軽に作れておいしい」と人気のコラムだ。外食より「おうちご飯」が増える今、一皿で満足できるレシピは助かる。過去の掲載レシピから、15分以内で作れる料理を絞り込み、管理栄養士などの専門家に選んでもらった。
1位 トマト牛丼
うま味と酸味 相性抜群
ボリュームがあって甘辛、幅広い世代で好まれる牛丼。タマネギの代わりに使うトマトのうま味と酸味は「牛肉との相性が抜群」(村上祥子さん)
トマトは温める程度に軽く焼き、食感を残すのがコツ。牛肉も煮すぎると固くなるので、余熱を考え早めに火を止める。「食欲がないときもさっぱり食べられる」(松尾みゆきさん)。ショウガとミツバを添えて。(1)調理時間 15分(2)カロリー数(1人分) 620キロカロリー(3)掲載月 2018年6月
ひと工夫「牛の脂が強く感じられるときは調味料に酢を足すとさっぱりする」(野口英世さん)
材料(2人分)
牛ロース薄切り肉150グラム トマト1個 ショウガ5グラム A〔みりん大さじ2、酒大さじ1/2、しょうゆ大さじ1 1/2〕 ごはん300グラム ミツバ4本
(1)トマトは厚さ1センチの半月切りに、ショウガは細切りにする。ミツバの茎は長さ2センチに切る(葉はとりおく)。
(2)肉は幅4センチに切る。
(3)フライパンにAと(1)を入れて中火にかける。煮立ったら肉を入れ、肉の色が変わったら火を止める。
(4)ごはんを盛り、(3)をのせてミツバの葉を飾る
2位 タコライス
緑・赤・黄の彩り 食卓にぎやか
タコライスはメキシコの軽食タコスをヒントに、沖縄で誕生したとされる料理。レタスの緑、トマトの赤、チーズの黄、ごはんの白と彩りがよく、食卓がにぎやかに。「ふんだんに使うチーズで不足しがちなカルシウムがとれるほか、バランスよく栄養が含まれている」(松尾さん)
ひき肉にしょうゆとケチャップをしっかりなじませる。「幅広い世代に好まれる味つけ」(畑田祐子さん)。野菜が苦手な子どもや、食欲がない人も食がすすむ。(1)15分(2)698キロカロリー(3)09年8月
ひと工夫「アボカドを加えると栄養価がアップする」(小竹貴子さん)
材料(2人分)
合いびき肉150グラム ニンニク10グラム A[ケチャップ大さじ1 1/2、ウスターソース大さじ1、しょうゆ小さじ1] サラダ油小さじ1 トマト小1個 レタス2枚 生食可能なピザ用チーズ50グラム ごはん300グラム
(1)ニンニクはみじん切りに、レタスは幅1センチに、トマトは1.5センチ角に切る。
(2)フライパンにサラダ油を入れて、ニンニクを弱火でいためる。香りが出たら中火にし、ひき肉を入れていため、Aを加えて汁気がなくなるまでいためる。
(3)ごはんを盛り、チーズ半量をのせる。ひき肉、レタス、トマトをのせ、残りのチーズを散らす。
3位 きざみいなりの三色丼
お手ごろで食べ応え十分
鶏や豚のひき肉の代わりに、豆腐が原料の油揚げをいなりずしのように甘く煮て刻む。油抜きをすることで煮汁が染み込みさっぱり。「肉を使わないのでベジタリアンも食べられる」(小竹さん)。肉より安価な油揚げを使うため、「お手ごろで簡単」(野口さん)。
食べ応えは十分。サヤインゲンは家にある小松菜などに代えてもよい。一皿ながら「味のバランスがよくごはんがすすみそう」(タケムラダイさん)(1)15分(2)470キロカロリー(3)16年9月
ひと工夫「緑の野菜は旬のものを加えるとよい」(下田妙子さん)
材料(2人分)
油揚げ2枚 A[だし80ミリリットル、砂糖・しょうゆ各小さじ2、みりん大さじ1/2] サヤインゲン4本 卵2個 B[砂糖・酒各大さじ1/2、塩少々] ごはん300グラム 紅ショウガ適量
(1)油揚げは油抜きをする。水気をしぼり、みじん切りにする。鍋にAを合わせ、油揚げを入れて中火にかける。汁気がなくなるまで、混ぜながら約5分煮る。
(2)インゲンは、塩少々(材料外)を入れた熱湯で約1分ゆでる。斜め薄切りにする。
(3)卵はBを加えて混ぜる。フライパンに流して中火にかけ、菜箸3、4本で混ぜながらいり卵にする。
(4)ごはんを盛り、(1)、(2)、(3)、紅ショウガをのせる。
4位 カレーチャーハン
冷めても変わらぬ豊かな香り

カレーの香りが豊かな一品で「食欲が増幅する」(上野知佐さん)。カレー粉を入れる前にひき肉から水気がなくなるまでしっかり炒め、風味を具材になじませる。赤ピーマンは「ビタミン豊富」(松尾さん)で、食をそそる。冷めても香りや味わいが変わらず、「子どものお弁当にも使える」(滝村雅晴さん)(1)15分(2)528キロカロリー(3)10年6月
ひと工夫「レタスに包んで食べると、おいしく野菜もしっかりとれる」(野口さん)
材料(2人分)
豚ひき肉100グラム タマネギ1/4個 ショウガ10グラム 赤ピーマン1個 サラダ油大さじ1 A[カレー粉・中濃ソース・トマトケチャップ各大さじ1] 塩・こしょう各少々 ごはん350グラム
(1)タマネギ、赤ピーマンは7~8ミリ角に、ショウガはみじん切りにする。Aは合わせる。
(2)フライパンにサラダ油を中火で温め、ショウガを入れて香りが出たらタマネギを加える。タマネギがすき通ってしんなりしたら、ひき肉と赤ピーマンを加えていためる。
(3)肉に火が通ったらAを加えて混ぜる。ごはんを加え、全体をいため合わせる。塩、こしょうで味をととのえる。
5位 親子スープかけごはん
疲れた日に 優しい味わい

鶏だしのスープの素と鶏肉に、シイタケのうま味も加わる。「ほっと優しい味わい。肌寒い日や疲れた日におすすめ」(野口さん)。通常の親子丼と比べ「具だくさんスープをごはんにかけるだけで簡単」(松尾さん)。スープを吸った後のごはんはおじやのよう。「家にあるもの」(荻野菜々子さん)で作れるのがうれしい。(1)15分(2)399キロカロリー(3)06年1月
ひと工夫「万能ネギ、ミツバを添えると彩りがよくなり、栄養価も高まる」(上野さん)
材料(2人分)
鶏もも肉80グラム ニンジン25グラム ネギ1/4本 シイタケ2個 卵1個 ごま油小さじ1/2 A[水400ミリリットル、スープの素小さじ1/2、しょうゆ小さじ1、塩小さじ1/3、こしょう少々] いりごま(白)小さじ1 ごはん300グラム
(1)ニンジンは長さ2センチの短冊切りに、ネギは斜め薄切りに、シイタケは薄切りにする。鶏肉は薄いそぎ切りにする。
(2)卵はほぐす。
(3)深めのフライパンにごま油を入れて温め、鶏肉を中火でいためる。肉の色が変わったらAを入れ、ニンジンとシイタケを加える。煮立ったらアクを取り、ふたをして中火で約5分煮る。煮立ったらアクをとり、ネギを加えてさっと煮る。
(4)とき卵を回し入れ、半熟になったら火を止める。ごはんにかけ、ごまをふる。
6位 うなたま丼
コスパよく育ち盛りも納得

ヒントは親子丼で、高価なウナギを数人で楽しめる。通常のうな丼に比べ「財布に優しく、育ち盛りでも満足感が得られる」(村上さん)。ウナギは「夏バテ解消にも効くビタミンA」(下田さん)を含むが、市販品は味が濃いことも。卵と砂糖で和らげた。「子ども向けになる」(滝村さん)(1)15分(2)516キロカロリー(3)03年4月
ひと工夫「ごぼうのささがきを加えるとかさ増しでき、うま味もアップする」(野口さん)
材料(2人分)
ウナギのかば焼き100グラム タマネギ80グラム 卵2個 ミツバ6本 A[だし80ミリリットル、砂糖・酒各大さじ1/2、みりん・しょうゆ各小さじ2] ごはん300グラム 粉ざんしょう少々
(1)タマネギは薄切りに、ミツバの茎は長さ2センチに切る(葉はとりおく)。ウナギは縦半分にし、幅2センチに切る。卵はほぐす。
(2)フライパンにAを合わせてタマネギを入れ、ふたをして中火で2~3分煮る。
(3)ウナギを加え、約1分煮る。
(4)とき卵を回し入れ、ミツバの葉をのせる。ふたをして、1分ほどしたら火を止める。ごはんにかけ、粉ざんしょうをふる。
7位 ねぎ豚丼
ボリューミーでもさっぱり

「相性抜群なネギと豚」(タケムラさん)をいためた。ボリュームはあるが、塩だれとしぼったレモンの酸味で最後までさっぱり。豚肉は薄切りであれば部位はどこでもOK。鶏ガラがベストだが、家にあるスープの素なら何でもよい。「肉をしっかり食べたいとき、手軽にできる」(荻野さん)(1)15分(2)502キロカロリー(3)07年10月
ひと工夫「ネギと一緒にシメジなどきのこもいためると、手間は増えずかさまし可能」(小竹さん)
材料(2人分)
豚薄切り肉150グラム 塩小さじ1/6 ネギ1本 レモン1/4個 A[水50ミリリットル、酒大さじ1、鶏ガラスープの素・片栗粉各小さじ1/2] ごま油小さじ2 ごはん300グラム 黒こしょう少々
(1)ネギは斜め薄切りにする。レモンは半分に切る。肉は食べやすく切り、塩をふる。
(2)小鍋にAを合わせ、ひと煮立ちさせる。ごはんを盛る。
(3)フライパンにごま油小さじ1を温め、ネギを中火でさっといため、ごはんにのせる。
(4)同じフライパンにごま油小さじ1を足し、肉を強めの中火で両面色よく焼く。ネギの上にのせ、上からAをかける。黒こしょうをふり、レモンをしぼる。
7位 梅ジソやっこ丼
豆腐でのどごし「つるっ」

手でほぐした豆腐をごはんにのせるだけ。刻んだ小ネギやシソを用意すれば、子どもも簡単。豆腐のつるっとしたのどごしと、梅干しの酸味で「食欲のないときに活躍しそう」(畑田さん)。豆腐の水気は切らない。冬は「豆腐を電子レンジで加熱すると温かくおいしい」(タケムラさん)(1)10分(2)355キロカロリー(3)12年8月
ひと工夫「ごまをたっぷりのシラス干しに代えると栄養価が高まる」(小竹さん)
材料(2人分)
豆腐1丁(300グラム) シソ4枚 万能ネギ1本 梅干し2個 けずりかつお小1袋 いりごま(白)小さじ1 ごはん300グラム しょうゆ適量
(1)豆腐は皿などにとり出し、自然に水気をきる。
(2)シソは細切りにし、水にさらして水気をきる。ネギは小口切りにする。梅干しは種をとり、包丁でたたく。
(3)ごはんを盛り、豆腐を手で3~4センチのかたまりにくずしながらのせる。
(4)(2)とけずりかつおを盛ってごまを散らす。しょうゆを好みの量かける。
四季折々の食材 おいしい一皿を
コラム「かんたん美味」ではベターホーム協会(東京・渋谷)が、なるべく道具を使わず、身近な食材を簡単な手順で調理するおいしい家庭料理を紹介している。四季折々の食材の旬や流行を取り入れたレシピを紹介し、その数は20年3月末で880になった。
今回のランキングでは、連載初年の03年に登場した6位のうなたま丼から18年掲載の1位のトマト牛丼まで、幅広い時期のレシピがランク入りした。調理時間が短く、手順も少ないだけでなく、旬ならではの栄養がとれ、安価な食材を使うなど、家計にも優しい。
料理を始めた頃、「かんたん美味」で学んだというパパ料理研究家の滝村さんは「料理への心理的なハードルを下げてどんどん挑戦してほしい」と話す。外出、外食を控え、家に家族が集まる今。簡単でおいしい一皿ごはんを囲み、楽しく英気を養おう。
ランキングの見方
数字は専門家の評価を点数化。(1)調理時間(2)カロリー数(3)掲載年月。写真は三浦秀行撮影、スタイリングは青野康子。
調査の方法
NIKKEIプラス1のコラム「かんたん美味」で、2003年の連載開始から20年3月28日付までのレシピの中から、ベターホーム協会と編集部が調理時間が15分以内、一皿で肉や魚、野菜と主食がとれる20品を選んでリストを作成。管理栄養士や料理研究家など10人の専門家に、栄養や作りやすさなどの観点で評価してもらった。(田中早紀)
今週の専門家
▽上野知佐(管理栄養士)▽荻野菜々子(タニタ食堂管理栄養士)▽小竹貴子(クックパッド ブランディング・編集担当本部長)▽下田妙子(東京医療保健大学名誉教授)▽滝村雅晴(パパ料理研究家)▽タケムラダイ(電子レンジ料理研究家)▽野口英世(フードスタイリスト)▽畑田祐子(ABCクッキングスタジオ)▽松尾みゆき(管理栄養士)▽村上祥子(福岡女子大学客員教授)
[NIKKEIプラス1 2020年4月4日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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