名古屋大、岐阜大が運営法人統合 県境越えで全国初

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2020/4/1 17:54
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名古屋大と岐阜大の運営法人を統合した「東海国立大学機構」が1日、発足した。県境を越えた国立大の法人統合は全国初。18歳人口が急減する中、事務の効率化によって国際競争力のある分野に予算を集中させ、教育研究の強化を目指す。

東海国立大学機構が発足し、式典に臨んだ松尾機構長(左から4人目)ら(1日、名古屋市千種区)

東海国立大学機構が発足し、式典に臨んだ松尾機構長(左から4人目)ら(1日、名古屋市千種区)

両大学は2018年12月に運営法人を統合することで合意。一つの大学法人が複数の大学を運営できる改正国立大学法人法が19年に成立し、統合が実現した。

名大の松尾清一学長が初代機構長に就任。岐阜大の森脇久隆学長が大学総括理事(副機構長)に就き、独自性維持に配慮する。元トヨタ自動車専務の鈴木武氏ら民間人を非常勤理事に迎える。

松尾機構長は1日の記者会見で、「東海地域の未来をつくり、支える人材育成が機構の役割。今まで成し遂げられなかったことを連携して進める」と強調。森脇副機構長は「東海地域を発射台に世界へ飛躍する機構を作り上げる。両大学だけでなく、さらに色々な方と手を携えていきたい」と述べた。

統合によって事務部門をスリム化し、財源や人員を国際競争力のある糖鎖研究、航空宇宙、医療情報、農学の4分野に集中させる。糖鎖研究は未知の生命現象の解明や将来的に新しい治療薬開発につながるとされ、岐阜大に新拠点を設ける。

中部地方で盛んな航空宇宙産業を発展させるため、産学官一体の教育研究拠点もつくる。国からの運営費交付金は年間400億円規模になる。

統合の背景にあるのが、18歳人口の減少だ。1992年に205万人だったが現在はほぼ半減。2032年は100万人を割る見込みで、優秀な学生の獲得競争は激化する。国からの交付金が減少する中、急激な産業構造の変化に伴って国立大には産業界からこれまで以上に優秀な人材の輩出が求められている。

このため教育のあり方も見直す。特に人材不足が指摘されるデータ解析分野では、米国の大学のノウハウを取り入れ、産業界と連携しながら実践的な教育を実施。教養科目は、教員と学生が意思疎通しながら学ぶ講義などを試みる。

統合を機に名大は短期間で結果が出にくい分野の教員を評価するため、岐阜大で実施する6年ごとの中長期的な「関門評価制度」を採用する。

全国では静岡大と浜松医科大の2校、北海道にある小樽商科大、帯広畜産大、北見工業大の3校、奈良教育大と奈良女子大の2校もそれぞれ法人統合に向けた準備を進めている。

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