モルガンなど米銀、「解雇せず」従業員に通知
雇用不安防ぐ 新規採用は停止も

金融最前線
2020/4/1 4:00 (2020/4/1 21:46更新)
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【ニューヨーク=大島有美子】新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、米銀が雇用維持に腐心している。モルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は2020年中は従業員の解雇をしないと明言し、従業員の不安払拭に努める。一方、先行きの不透明感から新規採用を取りやめる銀行も目立ち始めた。収益と雇用の両立が課題になっている。

一時的に閉店しているJPモルガン・チェースの店舗(3月29日、ニューヨークのマンハッタン)

「あなたの仕事は保証されている」。日本経済新聞が3月31日までに入手したモルガンのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)の電子メールは、米国の従業員に20年のうちは人員削減をしないと強調した。

バンカメのブライアン・モイニハンCEOは「レイオフ(一時解雇)はしない」と述べた。ゴールドマン・サックスも新型コロナ関連の人員削減は予定していないという。

米労働省によると銀行の従業員数は全米で139万人。銀行は日常生活に必要な業種として営業を認められているが、それでも雇用不安が広がる。米国で休業する大手銀の店舗は2000前後にのぼるもようだ。新型コロナ感染防止のためだ。

米銀が現時点で人員を削減しないのは、前期までの好業績で財務に余裕があるためだ。規制対応費用の増加にも対応。支店や人員構成の見直し、賃料の安い州への事務拠点の移転などを通じてコストを圧縮してきた。

現状で人員を削減すれば、従業員に非のない理由で解雇した印象を持たれ、銀行の社会的評判が傷つく可能性もある。

各行は従業員に在宅勤務を促している。全従業員のうちモルガン・スタンレーは9割、バンカメも7割を超える15万人が在宅勤務だ。出勤が必要な場合は追加で報酬を支払う銀行もある。

一方、米銀の収益環境は今後、悪化が避けられそうにない。景気鈍化に加え、低金利で利ざやが圧迫されるためだ。消費者や小規模事業者など新型コロナで収入が減っている顧客には手数料なしでのローンの返済遅延などを認めており、短期的な減収要因も影響する。

ウェルズ・ファーゴやバンカメは従業員を解雇しないかわりに、新規採用を停止した。「流動的な状態が落ち着くのを見極める(まで再開しない)」(ウェルズ)構えだ。JPモルガン・チェースも一部の部署で採用をやめたり、遅らせたりしているようだ。

各行は当面のコスト削減策として顧客の比較的少ない店舗を閉めたり、インターネットバンキングやATMの利用を促したりしている。JPモルガンが約2割にあたる1000店を休業しているほか、シティも3月末までに全米の店舗の約15%に当たる700店を一時閉鎖。営業時間も午前10時から午後4時に短縮した。ウェルズ・ファーゴも一部店舗を閉め「多忙な店舗に従業員を移している」という。

これまで雇用は米銀にとってコストの重要な調整弁だった。景気や業績の悪化が長引けば、現在は控えているリストラに踏み切らざるを得なくなる可能性もある。

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