昭和電工の日立化成TOB開始 協業力も取り込みを

2020/4/1 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

昭和電工日立化成に対するTOB(株式公開買い付け)を3月24日に開始した。今夏にも全株を取得し、買収を完了する見通しだ。買収額は約9640億円と自社の時価総額の3倍超。日立化成の電子情報材料事業を次代の成長エンジンとして期待する。しかし、買収の効果を高めるためには日立化成が強みを持つ異業種との技術連携などオープンイノベーションのノウハウ取り込みも欠かせない。

当初は2月中の開始を目指していたTOB。日本や米国、中国など6カ国・地域の一部で独占禁止法の審査が遅れ、ずれ込んでいた。新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の先行き不透明感が強いが「買収における影響はない」(昭和電工)としている。

日立化成はリチウムイオン電池の負極材で国内最大手。半導体向け封止材や研磨材にも強い。景気減速などで昭和電工の収益源だった電気炉製鋼用の黒鉛電極の収益に陰りが見えるなか、次世代通信規格「5G」の普及をにらみ日立化成の材料は大きな魅力だ。

同社は鉛蓄電池など不採算事業も抱える。買収後には事業リストラに関心が高まるが、昭和電工が経営面で取り込みたいノウハウも多い。それがオープンイノベーションの活動だ。

東京駅に隣接する高層ビル内に日立化成が2017年に開設した企業連携拠点「イノベーションセンタ」。樹脂製品などを展示し、協業の可能性や自社製品の用途拡大を狙う。

来訪するのは自動車部品や半導体メーカーなどの既存顧客だけではない。「延べ500社近くが来訪し、食品メーカーや不動産会社なども積極的に受け入れている」(加藤幸治センタ長)。来訪者にあわせて展示物を入れ替えるなど、関心を高める工夫を凝らす。4割は海外企業だという。

他にも日立化成は18年、半導体の開発期間を短縮するための共同事業体「JOINT」を設立。AGCやJSRなど材料や製造装置を手掛ける20社程度を集めて開発を加速させている。

19年には川崎市に次世代半導体の試作ができる研究拠点「パッケージングソリューションセンタ」を開設。関連する材料や製造装置メーカーなどとの連携で中核的な役割を担っている。

昭和電工の森川宏平社長は日立化成買収を決めた背景に、米グーグルなどIT(情報技術)大手「GAFA」の脅威を挙げる。ビッグデータを活用して素材開発でも優位な立場に立ちかねないGAFAとの競争を控え、オープンイノベーションの進化が問われる。

(企業報道部 後藤宏光)

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