元看護助手に再審無罪 患者死亡の殺人罪、大津地裁判決

社会・くらし
2020/3/31 10:32 (2020/4/1 8:14更新)
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再審無罪判決で支援者らとともに万歳する西山さん(中央)=31日午後、大津市

再審無罪判決で支援者らとともに万歳する西山さん(中央)=31日午後、大津市

滋賀県の湖東記念病院で患者の呼吸器を外したとする殺人罪が確定し服役を終えた元看護助手、西山美香さん(40)の再審公判で大津地裁は31日、無罪判決を言い渡した。自然死の可能性が高いと判断。自白の信用性や任意性も明確に否定した。誘導的な取り調べによる捜査など刑事司法のあり方に警鐘を鳴らした。検察側が上訴権を放棄すれば、控訴期限(14日間)を待たずに確定する。

「患者が何者かに殺害されたという事件性を認める証拠すらない」。大西直樹裁判長は、無罪判決の理由を述べた。

西山さんを無罪に導いた要因は2つある。1つは、弁護団が再審で新証拠として提出した自然死の可能性を指摘する医師の鑑定書だった。判決は、死因について致死性の不整脈や、たん詰まりなど病死の可能性も認められると判断した。

2つ目は、確定審の有罪の根拠となった自白調書の信用性や任意性の否定だ。判決は、警察の取り調べは被告の特性や恋愛感情に乗じて、供述をコントロールし、「虚偽供述」を誘発する恐れがあったとし、自白調書を証拠から排除した。「自白供述は信用性に重大な疑義がある」と結論づけた。

判決は捜査の問題点にどう言及するかも注目された。大西裁判長は判決後に説諭。「この事件は裁判や捜査の在り方に大きな問題を提起している。刑事司法に関わる全ての関係者が自分のこととして受け止め、刑事司法の改善につなげる必要がある」と言及した。虚偽供述の誘発の恐れを指摘された滋賀県警の捜査や、それを見破れなかった裁判所など、刑事司法全体への反省と再発防止を迫ったともいえる。

今後の焦点は、自白の誘導など捜査当局による問題の検証だ。過去の再審事件で司法、捜査当局が検証結果の公表や謝罪したケースは少ない。

大津地検の山上真由美次席検事は「自白の任意性を否定した指摘には承服しかねる点も存在するが、被告が有罪であるとの新たな立証はしなかった事案であることも踏まえ、慎重に判決内容を検討して適切に対応したい」とコメントしている。

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