コツコツ投資、いまやめるのはNG データで検証
QUICK資産運用研究所 高瀬浩

投信調査隊
コラム
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2020/4/1 2:00
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新型コロナウイルスが世界にまん延し始めたことで、「人生100年時代」の資産形成層も大きな痛手を被っている。

先行きへの悲観ムードが一気に高まる中、つみたてNISA(少額投資非課税制度)などを活用して積み立て投資をしている個人の中には、傷口がもっと広がる不安を断ち切れず、コツコツ投資はもうやめてしまった方がいいのではないかという考えに傾く向きが少なくないようだ。

では実際、継続せずにやめてしまったらどうなるのか検証してみた。コツコツ投資をやめた後の投資行動は様々だが、結論をいうと、いったん中断していずれ再開しようと思案するのなら、やめずにそのまま継続するのが得策のようだ。

■資産運用のポイントを再認識

まずは、コツコツ投資のリターンの現状を確認しておこう。3月19日の日経平均株価は1万6500円台まで年初から3割安の水準まで下げた。つみたてNISAで2018年から毎月積み立て投資を継続してきたとして、残高の大きな投資信託を主な投資対象で区分して並べ替え、昨年末とこの日のリターンを表にした。

昨年末時点では好調だったのに、いずれも元本割れに一変している。しかし、海外株や日本株で運用する投資信託は軒並み2割前後下げているのに対し、複数の資産に分散投資しリスクを抑えたバランス型は下落率が小さめだ。例えば、世界の株式と債券をほぼ半々ずつ組み入れて運用する「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は6%程度の下落にとどまった。

コツコツ投資でも、自分が持ち応えられそうな下落率を想定したうえで、資産分散でリスクを抑制しておくのが肝心というポイントを図らずとも再認識する結果となった。

金融資産すべてをリスクにさらさず、現金相当を備えたうえで投資はあくまで余裕資金の範囲で行うことや、資産形成の終盤での急落リスクを避けるには出口が近づくにつれリスクの小さい債券などの比重を高めておくのが有効なのも、資産運用の重要な点だ。

■収益額は「投資元本×リターン」

それでは、資産運用の出口までの期間が少なくとも10数年以上ある資産形成層がいま取るべき策はなんだろう。コツコツ投資をやめてしまった方がいいのだろうか。

解約してこの先の損失拡大を食い止めるとしても、それでは「老後資産2000万円問題」で浮き彫りになった将来の生活資金の確保がおぼつかなくなる。

投信の基準価格が下落したらいったん換金して、コツコツ投資をいずれ再開すると考えた場合はどうか。ここでは毎月、日経平均を月末の価格で1万円ずつ継続購入するとして、再開ルールを2つ設定し、下がってもやめずに継続した場合とのリターンなどを比較してみた。ただし、2つとも実際に行うのは至難で手間がかかる神業に近い手法になる。

再開1:日経平均が上昇した月の後に下落した場合、連続下落を恐れ、その月の月末の価格ですべて解約し、いったん現金化。翌月以降、下落が続いた場合は現金を放置したままとし、上昇に転じたら現金を元手に月末の価格で日経平均を一括購入し直すと同時に毎月のコツコツ投資も再開。

再開2:再開1と同じ条件での全解約・現金化。その翌月は上昇しても下落しても、保有現金で日経平均を一括購入し、コツコツ投資を再開。

グラフは投資の継続再開1再開2の3パターンについて、1980年、90年、2000年、2010年のそれぞれの1月からコツコツ投資を始めたとした場合の3月19日時点のリターンと平均購入単価および継続した時の収益額を比較したものだ。

(注)データは2020年3月19日時点。横軸は積み立て投資開始年。各年1月から2020年2月まで毎月末に日経平均(配当金を含まず)を1万円ずつ購入し続けた場合。換金時の税金と購入手数料は考慮せず

(注)データは2020年3月19日時点。横軸は積み立て投資開始年。各年1月から2020年2月まで毎月末に日経平均(配当金を含まず)を1万円ずつ購入し続けた場合。換金時の税金と購入手数料は考慮せず

再開1は各年ともリターンはマイナスとなり、継続した方が優位なのは鮮明だ。いったん換金してから再開する場合、高値で買い戻す場面が少なからずあり、平均購入単価が上がってしまいがちなためだ。

継続投資の収益額の違いにも注目したい。おおむね投資期間が長くなると収益額も膨らんでいる。収益額は「投資元本×リターン」で決まるが、長く継続するほど投資元本が膨らむことによる。1980年から始めた場合の投資元本は投資継続の482万円に対し、再開1のケースは268万円、再開2では358万円に縮小した。

■機械的な継続に勝るものはなし

さらに、日経平均に投資したとしても実際の連動運用では運用コストを除いた採用銘柄の配当金が基準価格に上乗せになるので、継続投資で保有口数が増えるほど配当収入が膨らむ効果も期待できる。

ここでは日経平均を例にとりデータ検証したが、もちろん投資対象の違いもリターンを左右する。仮にNYダウ工業株30種平均(円換算、配当金含まず)に2000年から20年間、毎月積み立て投資した場合、NYダウが2万ドルを割り込み3年3カ月ぶりの安値をつけた3月20日でもリターンは約58%と日経平均(約27%)の2倍になった。

コツコツ投資の大きな特徴は投資タイミングを考えずに、機械的に決まった日に一定額を買い続ける点に尽きる。そうすることで高値づかみを免れながら、単位口数あたりの平均購入単価を低く抑えることが可能となり、将来基準価格が上昇し平均購入単価を上抜いていくのを期待する手法だ。

運用内容や運用コスト、購入手数料など納得のいく投資信託を選ぶことが大切なのはいうまでもないが、長期のコツコツ投資に踏み出した以上、急落に遭遇した時にあれこれ思案して途中でやめてしまうのは得策とはいえない。つみたてNISAでは制度上、購入するたびに非課税枠を消化してしまうので、いったん解約してから再購入する際には、非課税枠の残りが縮小するのも注意点だ。

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