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25歳の乗り鉄会社員ゴロー、株式投資に出合う

ろくすけさんの勝てる株式投資入門(1)

株式投資で3億円を超える資産を築き、アーリーリタイアしたブロガーのろくすけさん(ハンドルネーム)。会社員投資家の夢を実現した実在のスゴ腕投資家が、会話形式のフィクションストーリーを通して、株式投資の取り組み方やノウハウをやさしく解説していきます。自ら先生役として登場し、初心者である架空の若者2人に株のイロハを教えていくという筋立てです(ろくすけさんの容姿は本人と変えています)。一緒に基本を学んでいきましょう!

登場人物


実在する本連載の著者。人気ブログ「ろくすけの長期投資の旅」を運営。株式投資で運用資産を約3億円に増やし、アーリーリタイアを果たした。

大学院を修了後、化学メーカーに就職して1年目の青年(架空)。旅先で出会ったろくすけさんに師事するという設定。


ゴローの妹(架空)。大学で経営学を専攻している。兄と一緒にろくすけさんに投資を学ぶという役どころ。2回目から登場。

鉄道のローカル線で旅行するのが趣味のゴロー(25歳)。彼は、旅行先の島根県・温泉津(ゆのつ)温泉で出会った40代の男性、ろくすけさんと意気投合。ろくすけさんの部屋で酒を酌み交わし、交友を深めます。

ゴロー:石州瓦(せきしゅうがわら)がわらの街並みに溶岩のように湯の花がびっしり付着した薬師湯。えも言われぬ風情は都会の喧噪(けんそう)を忘れさせてくれます。寝台特急「サンライズ出雲」に飛び乗って来たかいがありました!

ろくすけ:ゴロー君はまだ20代なのに、言うことが本当に若者らしくないよね。そういうところ、私は嫌いじゃないよ(笑)。

ゴロー:ところで、まだ伺っていませんでしたが、ろくすけさんは普段どんな仕事をされているのですか?

ろくすけ:あぁ、私は今、仕事をしていないんだよ。昨年の春に、アーリーリタイアしたんだ。

ゴロー:ア、アーリーリタイア?

株式投資で3億円を稼いで早期退職

ろくすけ:まだ若い世代にはピンとこないかな。定年よりも早く退職することだよ。定年を迎える前に、一足早く"引退"生活に入ったわけさ。まだ定年まで15年以上あったから、だいぶ早いけどね。

ゴロー:「FIRE(※)」というのがアメリカではやっているのは聞いたことがありますけど、日本でも本当にそんな人がいるんですね。引退ってことは、もう仕事をしないということですか?

FIRE=「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った言葉。
経済的に自立して早く引退することを指す。

ろくすけ:基本的にはね。興味深い話があれば、セミリタイアという形にして少し仕事をするかもしれないけど。

ゴロー:まだ40代半ばなんですよね。これからの生活は大丈夫なんですか? 仮に仕事を少しするとしても、前ほどの収入ではないでしょう。あっ、すみません。立ち入ったことを聞いてますよね。

ろくすけ:ハハハ、大丈夫だよ。実は会社員をしながら、株式投資で3億円を超える資産を築いたんだ。それで退職後の生活を賄う十分な資金ができたので、思い切って仕事を辞めることにしたんだ。

ゴロー:さ、3億円ですか。スゴイですね。株はギャンブル(賭け)だから、大損する確率も高いでしょう。それで3億円も稼いだなんて、ろくすけさんは見かけによらず、ギャンブラーなんですね!

興奮してまくし立てるゴローの言葉を聞き、急に顔をしかめたろくすけさん。一呼吸を置いて、再び口を開きました。

ろくすけ:ギャンブル、か。日本ではいまだにそう見ている人が多く、株式投資は敬遠されているんだよね。正しい知識と方法で取り組めば、誰にでも大きな資産をつくれる可能性があるのに、本当に残念なことだよ。

ゴロー:ギャンブルではないんですか。亡くなったじいちゃんが昔、株に手を出して、バブル崩壊とやらで大損したらしく、父には「株は怖い。絶対に手を出すな」と言い聞かされてきたんですが。

ろくすけ:それと似た話はこれまでもよく耳にしてきたよ。確かに株で損をすることはある。損が付きものと言ってもいいかな。私も数え切れないくらい失敗し、損も出してきた。でも、成功した株で損失を大きく上回る値上がり益を得ることができたからこそ、気が付けば3億円を超す資産を手にしていたんだ。

損が出る株がある一方で、時間をかけて大きな成功を収める株もあって、トータルで利益を出す。結果として見込み違いだった株があって、値下がりして損が出ることも多いけど、買う時には十分な分析をした上で全て値上がりする見込みのある株を買っている。

宝くじやルーレットのような当てずっぽうのギャンブルとは、その点が違う。さらに言えば、そういったギャンブルは、全体のパイが増えず、参加者の誰かが得をすれば誰かが必ず損をする。ゲーム理論で言うところの「ゼロサム」のゲームだ。これに対して、株式投資は株価が上昇すれば全体のパイ自体が増えるので、参加者全員が得することも可能な「プラスサム」のゲームなんだよ。

ゼロサムかプラスサムか、これは大きな違いだ。プラスサムで経済の規模自体が大きくなり、多くの人が恩恵を受けてきたから、資本主義は発展してきたとも言える。おっと、先走り過ぎたかな?

相場の行方や株価の先行きは予測しない

ゴロー:えーと、値上がりする見込みのある株を買うということは、将来に株価が上がるかどうかを的確に予測しているんですよね? 毎日様々なデータを分析して予測を立てるなんて大変でしょう。

たまにテレビで株式市場のニュースを目にしますが、「為替が円高に振れて日経平均株価は下がりました」といったコメントが飛び交っていますから。会社員で仕事をしながら日々そんな作業をしていたなんてスゴイですね。

ろくすけ:いや、そんな予測をする必要はないんだ。株式投資を始めたばかりの頃は、ニュースや色々なデータを見て相場の先行きを読まなければと思ったりしたけれど、投資スタイルを確立してからは、相場の行方や個々の銘柄の株価を毎日予想しようなどとは考えなくなった。

ゴロー:え? では、その株が値上がりしそうだってどうやって分かるんですか?

ろくすけ:値上がりする可能性があるといっても、先々の株価を予測するわけではないんだよ。いつも考えているのは株価、つまり価格ではなく、株を発行している企業の価値なんだ。

仮に現在の株価が会社の現在の価値に対して適切な価格だとしても、将来、例えば5年や10年先に会社の価値が高まっていたら、現在の株価はその時点では適切な価格とは言えなくなるだろう。高まった企業の価値に見合った価格まで上昇するのが自然だよね?

ゴロー:価値が高まるから、適切な価格ではなくなる……。

ろくすけ:野球のイチローを例に取って、かみ砕いて説明してみよう。高校を出たばかりで日本のプロ球団の1軍と2軍を行ったり来たりだった頃は、プロとして通用するどうか分からないから年俸、すなわち価格は低かった。確か1年目は430万円だったかな。

でも、実績を毎年積み重ねていくと、当然さらなる活躍が期待されるようになる。ずっと首位打者だったしね。選手としての価値も高まり、年俸=価格もうなぎ登りに上がった。日本を出る時で5億3000万円にもなった。

これと同じで、企業も成長すると価値が高まって、価格、すなわち株価が高くなるんだ。だから、これから大きく成長する余地のある企業の株を買えば、株価の上昇が期待できるというわけさ。

ゴロー:企業が成長する……。

ろくすけ:具体例を示した方がいいかな。

企業業績が拡大すると株価が上がるとシンプルに考える

ろくすけさんはパソコンを取り出して、モニターの画面を開きます。そこに現れたのは、ゴローが見たことのないグラフでした。

ろくすけ:これは、家具・インテリアの専門店「ニトリ」をチェーン展開しているニトリホールディングス(9843)の過去10年の株価の推移を示したチャートだ。ニトリは知っているよね?

ゴロー:ニトリで買ったテーブルと椅子が家にあります。そういえば、食器やカーテン、布団もニトリだったと思います。

ろくすけ:私は、この会社の株を持っているんだ。過去10年の株価の推移を見ると、2012年12月から右上がりに大きく上昇していることが分かるだろう。この10年間の最安値は、12年11月27日の2905円。最高値は18年6月19日の1万9850円だ。これは最安値の約7倍だ。

ゴロー:7倍!

ろくすけ:次に、最安値を付けた12年度(13年2月期)と、最高値を記録した18年度(19年2月期)の業績を比べてみよう。6年間で売上高は1.7倍、営業利益は1.6倍に増えている。ニトリの株価が7倍になったのは他にも要因があるけれども、ニトリの業績が伸びて、売上高と利益の双方が2倍近くに増加したことがベースにある。

このように業績が拡大してきた実績があり、これからも拡大が続くはずだと評価される。つまり、価値の上昇が織り込まれて、株価も上がる。企業の成長とは業績の拡大で、業績が拡大すれば企業の価値が高まって、株価も上がるとシンプルに考えればいい。

ゴロー:ということは、業績がこれから拡大すると見込まれる会社の株を買えば、株価の上昇が期待できるということかぁ。プロ野球に例えるなら、2軍でキラリと光る若手を発掘すれば、将来何億円もの年俸を稼ぐスター選手になる可能性がある。それと同じように大化けして、ニトリのように株価が7倍になる可能性もある!

ろくすけ:そうだ。株価がこの先に上がるかどうかを予測するのではなく、業績がこれから拡大するかどうかを分析して、拡大が見込まれる会社の株を購入する。そうすればぴったり同時とはいかなくても、長い目で見れば業績が伸びる会社の株価はいずれその伸びに応じて上昇していく。

ニトリについてもまだ業績が伸びる余地が大きく、それを織り込んだ株価にはなっていないと私は考えている。だから、株を持ち続けているんだよ。

ゴロー:ということは、企業の業績が拡大するかどうかを予測することがカギになりますね。でも、それは、株価の先行きと同様に困難なのでは?

ろくすけ:確かに容易ではない。でも、過去の業績の推移やその企業が利益を上げている仕組み、手掛けている事業が社会の要請に合致しているかといったポイントを理解すれば、業績がどれだけ伸びるかを推測できる。株価とは違って、企業の業績には先行きを見通すための糸口がいくつもあるんだ。

ゴロー:企業の業績を分析する力を身に付ければ、大きく値上がりする企業の株を見つけて、資産を大きく増やすことができる!

ろくすけ:基本的にはそうだ。企業業績の分析に集中すると、極端なことを言えば、日々の株価の変動はチェックしなくてもいい。分析の作業は平日の仕事が終わってからの時間や休日にすればいいので、仕事が忙しく日中は時間の取れない会社員でもこなせる。

ゴロー:それなら、無理なく続けられそうですね。

株式投資は老後資金づくりの有効手段

ろくすけ:今は銀行に預金しても利子がほとんど付かない。ATMで時間外に引き出せば、手数料でその利子も吹き飛んでしまうほどだ。だから今、投資の必要性が声高に叫ばれている。

投資の対象には不動産や国債、金など色々あるが、数年間で元手が7倍にもなるようなものは株以外にはない。多くの人が企業の業績を分析する目を養い、株式投資に取り組むようになってほしいと願っている。

特にゴロー君のような若い世代は、退職後の重要な生活資金である年金の受取額が今の高齢者よりも大きく減るとみられている。株式投資を早く始めて、老後の資金を自分で用意することが必要だと私は思うよ。

ゴロー:そういえば、昨年は「年金だけでは老後の資金が2000万円不足する」と指摘した報告書が話題になっていましたね。老後の資金は自分で貯める必要があるんだと思いました。その有効な手段が株式投資なのですね。

ろくすけ:ゴロー君にその気があるなら、私が株式投資の基本を教えてもいいよ。

ゴロー:えっ、本当ですか? ぜひよろしくお願いします。

ろくすけ:今日はもう遅いから、日を改めて始めよう。東京に戻ったら連絡するよ。

(次回に続く)

今回のまとめ
企業の業績を分析する目を養えば、有望株を発掘できる

[日経マネー2020年5月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年5月号 1万円からの勝てる株式投資入門

著者 :
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

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