富士山ハザードマップ改定へ 溶岩・火砕流の距離長く

山梨
2020/3/30 18:00
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静岡、山梨、神奈川の3県などで構成する富士山火山防災対策協議会は30日、富士山ハザードマップの改定に関する中間報告をまとめた。国が2004年にマップを策定して以降の最新の調査結果やシミュレーション技術を活用した結果、溶岩流と火砕流の到達距離は長くなる。20年度中に大規模噴火などのシミュレーションを終えて、新たなマップを策定する。

富士山ハザードマップ改定の中間報告について説明する富士山火山防災対策協議会会長の長崎幸太郎山梨県知事(左)ら(30日、甲府市内)

5つの火口で小規模噴火した場合の溶岩流の6日間での到達可能性範囲。各火口の噴火は同時発生するものではない

「20年度は改定を終了させる。その結果は住民の避難行動をはじめ、行政の防災対策に大きな影響を及ぼすものだ」

協議会会長を務める山梨県の長崎幸太郎知事は30日の記者会見で改定作業の進捗状況と影響を説明した。小規模噴火の溶岩流及び火砕流のシミュレーションが終了し、20年度は大規模・中規模の溶岩流、融雪型火山泥流のシミュレーションを経て改定版を完成する。

富士山のハザードマップは、00年から01年に富士山直下で低周波の地震が多発したことをきっかけに、内閣府など政府が設けた協議会と検討委員会が策定に着手。04年6月に完成し公開した。

火山のハザードマップは溶岩流や火砕流など噴火による現象が及ぶ範囲をシミュレーションした「ドリルマップ」と、ドリルマップをもとに火山現象によって影響を受ける範囲を示した「可能性マップ」がある。

静岡県や山梨県が12年に設立した協議会は、04年のマップ策定以降に蓄積された科学的知見をベースにマップ改定に着手。18~20年度の3年間で改定を目指してきた。

中間報告によると、マップを改定するうえで前提となる複数項目についてデータを変更する。

参考にする噴火年代は従来は「3200年前~現在」としていたのを「5600年前~現在」に期間を拡大。溶岩の流れなどをより詳細に予測するため、地形データは従来の200メートル四方から20メートル四方に細分化した。

大規模噴火で流れ出す溶岩量は従来のマップは1707年の宝永噴火の6.8億立方メートルを想定したが、864~866年の貞観噴火の噴出量の13億立方メートルに見直した。

火砕流については、過去5600年間で最大規模の火砕流を参考に、噴出量は最大1000万立方メートルと従来の240万立方メートルの4倍に増やす。

溶岩が流れ出す可能性のある火口は従来の5倍にあたるのべ258地点に増やした。改定版検討委員会の藤井敏嗣委員長(山梨県富士山科学研究所所長)によると「前回のハザードマップで想定していた火口以外の火口が分かってきたので、想定火口域を見直す必要がある」と判断した。

協議会が前提条件の変更をもとに噴火の影響をシミュレーションしたところ、細かな地形データを設定した影響もあり溶岩流は幅が狭くなるが到達距離は長くなる。

火砕流の開始地点は前回の約4倍の35地点を設定。傾斜が急な北東と南西方向を中心に到達距離が長くなる見通しで、発生した場合は主要道路を寸断する恐れがある。

富士山が噴火した場合の影響は静岡県で富士宮市など5市2町、山梨県は富士吉田市など2市3町3村に及ぶ。最新の調査を反映したマップは大きな注目を集めそうだ。

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