塩野義製薬に中国保険大手が出資 創薬を効率化

2020/3/30 16:26
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塩野義製薬は30日、中国保険最大手の中国平安保険集団と資本・業務提携すると発表した。自己株式約636万株を中国平安の投資子会社に335億円で譲渡する。中国平安の出資比率は2%になる。塩野義は数億人いる中国平安の契約者の健康情報を活用し、医薬品や医療サービスの効率的な開発を目指す。日本の製薬大手に中国企業が出資することは珍しい。

塩野義製薬の本社(大阪市中央区)

7月末までに正式契約を結ぶ。塩野義と中国平安の合弁会社がビッグデータや人工知能(AI)を活用した創薬などに取り組む。まず、塩野義が得意とする感染症や中枢神経系の病気の治療薬が対象となる。塩野義は中国を含むアジア全域での開発・販売権を得る。

中国平安は保険やヘルスケアサービスなどの事業を運営しており、2019年12月期の純利益は1494億元(約2兆3000億円)だった。保険契約者の検査・治療データ、医療相談アプリの利用者の健康状態といった膨大な医療関連情報を持っている。

中国では「個人の健康や病気などのデータを活用しやすい」(塩野義)という。塩野義は中国平安と組むことで、従来よりも短期間で創薬や新規事業の開発ができると判断した。中国平安は合弁会社を通じて医薬品事業への参入を狙う。

中国の製薬産業は日本や欧米と比べ、新薬の研究開発力に劣る。中国政府は新薬の審査承認プロセスや品質管理基準を厳しくするなどして信頼性の低い企業を退場させる半面、外資企業が創薬に取り組みやすい環境を整備して製薬産業の育成に力を入れている。医療情報サービスの米IQVIAは23年の中国の医薬品市場が最大1700億ドル(約19兆円)と、18年比24%伸びると予測する。

14億人もの人口を抱えるだけに、医薬品の安全性などを確かめる臨床試験(治験)に必要な患者も集めやすい。これまでは特許の切れた後発薬の市場や医薬品原料の生産拠点だったが、仏サノフィなど世界のメガファーマが新薬の研究開発体制を整え始めている。「日本は薬価が毎年改定されるなど事業環境が厳しい。(アジアの研究拠点は)中国に軸足が移るだろう」(製薬大手幹部)との見方も出ている。

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