外出自粛初日、厳戒の首都 呼びかけは一定の浸透

2020/3/28 23:31
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外出自粛要請で人や車の通りが少ない六本木交差点付近(28日、東京都港区)

外出自粛要請で人や車の通りが少ない六本木交差点付近(28日、東京都港区)

新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めようと、東京都など首都圏の1都4県が共同で不要不急の外出自粛を求めた最初の週末の28日、都心の繁華街や主要駅は閑散とした。臨時休業する商業施設も相次ぎ、法的拘束力のない自粛要請ながら一定の浸透がみられた。ただ一部では出歩く若者らの姿もみられ、専門家は「危機意識をより広く共有する必要がある」と指摘している。

28日にはこれまでで1日の最多となる63人の新規感染が確認された東京都。同日夜の六本木は多くの飲食店などが臨時休業し、明かりを消して真っ暗になった店が目立った。六本木交差点も行き交う人は数えるほど。近所に住む会社経営の男性(53)は「普段の10分の1くらいの人出だろう。こんな六本木は初めてだ」と驚きを口にした。

■観光客がいない

都心は朝から閑散とした風景が広がった。新宿駅では駅直結の商業施設などが臨時休業。シャッターが下り、人影もまばらだった。近隣で通常営業した量販店でも、テレビ売り場の販売員は「有機ELテレビの販売台数は片手で収まるくらい。普段に比べて圧倒的に少ない」と話した。

外出自粛は東京都のほか神奈川、千葉、埼玉、山梨各県の知事も共同メッセージで呼びかけた。横浜市ではみなとみらい周辺の「横浜赤レンガ倉庫」などが全面休館し、普段混雑する中華街も人出が激減した。横浜・元町商店街の店舗でつくる協同組合元町SS会の原幸雄理事長は「異常な状況。観光客はいないのではないか」と語った。

交通網でも混雑が大幅に減った。日本道路交通情報センターによると、首都圏近郊などの高速道路では、普段の土日と比べ渋滞がほとんど発生しなかった。

JR東日本は28日、「新宿駅では通常の土曜と比べ利用者が少ない」と説明。羽田空港第1・第2ターミナル駅などを構える京浜急行電鉄も「鉄道の利用者が少ない状態が続いている」と話す。東京への不要不急の移動自粛を求めた愛知県でも、28日はJR名古屋駅の新幹線改札口を通る人が普段より少なかった。

日本危機管理防災学会の市川宏雄会長(明治大名誉教授)は自粛要請の初日について「実際に多くの人が外出を控え、要請は一定の効果があったといえる」とみる。

大型行事も無観客に。28日の東京都文京区の後楽園ホールでの格闘技イベントは、都の要請を受けて無観客開催を決め、主催者側はインターネットテレビでの観戦を促した。これまで同様の対応をとってきた中央競馬なども、引き続き観客を入れずに実施された。

■スーパーで商品の補充素早く

外出自粛要請後、買いだめの動きが広がった各地のスーパーでは、28日も多くの人が日用品を買い求める姿がみられた。品切れになった商品を素早く補充するなど、混乱を防ぐ措置をとった店も多かった。

世田谷区のあるスーパーでは缶詰や飲料などをすぐに補充できるよう、在庫分の段ボールを売り場に用意し、米は1人1点の購入制限を設けて品切れを防いだ。近くに住む男性(34)は「平日は仕事で買い物が難しく、やっと来られた」と話す。新宿区の大手スーパーでは、エスカレーターの利用を一部停止するなど店内の導線を整理した。

ただ、自粛ムードの一方で繁華街の一部では「どこで感染するか分からないなら、特定の場所に行くのをやめても無意味」などと、友人と花見に行く若者らの姿もみられた。専門家の間では、都内の繁華街で感染者の集団(クラスター)が生じている可能性が指摘されている。

市川氏は「さらなる感染拡大を防ぐには幅広い年代層の協力が欠かせない。行政職員が繁華街で直接注意を呼びかけるといった対応も検討すべきだ」としている。

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