ソフトバンクG、コロナ禍で財務悪化も 投資先に逆風

2020/3/28 21:43
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有力投資先で衛星通信を手がける英ワンウェブが27日に経営破綻した

有力投資先で衛星通信を手がける英ワンウェブが27日に経営破綻した

新型コロナウイルスの感染拡大で、ソフトバンクグループ(SBG)が試練を迎えている。有力投資先で衛星通信を手がける英スタートアップ、ワンウェブが27日経営破綻した。同社はその理由を「新型コロナの影響で資金調達が滞った」と説明。世界に広がる投資先の経営難が続けば、投資会社に転じたSBGの経営が揺らぎかねない。

ワンウェブは27日、チャプター11(米連邦破産法11条)を申請した。衛星を使った通信網を2021年に商用化する計画だったが、衛星の打ち上げ費用などで資金繰りが悪化。新型コロナによる金融市場の混乱で追加資金を調達できなかった。

SBGはワンウェブへ累計19億ドル(約2000億円)を投資したとされ、同社を持ち分法適用会社としている。

昨秋、米シェアオフィス大手ウィーカンパニーの経営不振が明らかになるなど、運用額10兆円にのぼる「ビジョン・ファンド」が揺らぐなか、コロナ禍が本業の投資事業に新たな打撃を加えた。

ワンウェブ以外の投資先にも逆風が吹く。ビジョン・ファンドが出資するウィーカンパニーやインドの格安ホテル大手OYO(オヨ)ホテルズアンドホームズは事業を世界展開する。ヒトの流れの断絶はこれら企業の経営も直撃しかねない。

マイナス影響が広がれば、SBGの収益は悪化する。約90社に投資するビジョン・ファンドの投資先企業価値が下がれば、その差分がSBGの営業利益を押し下げる。同ファンドが出資する上場企業では8社中4社の株価が昨年末比で下落。大型投資先の米ライドシェア、ウーバーテクノロジーズは8%安となった。

2019年10~12月期のファンド事業の営業損益は2251億円の赤字と2四半期連続の赤字計上だった。赤字額は7~9月期の9702億円から縮小したが、コロナ禍の影響で損益が悪化する可能性がある。

ファンドは投資資金10兆円のうち、外部投資家が拠出する4兆円について毎年、元本の7%を優先的に固定配当する仕組みだ。単純計算で毎年2800億円。投資回収が進まなければ、配当を支払うため、ファンドは追加の資金手当てを迫られる可能性もある。

孫正義会長兼社長はウィーカンパニーへの追加支援の際に「(今後、投資先への)救済投資は実施しない」と明言しており、SBGはワンウェブの支援に動かなかった。

「投資先の財務は独立採算」とする投資会社としての姿勢を示したといえるが、コロナ禍でSBG本体の財務が悪化する懸念から動くに動けないという事情もある。

「しばらくは守りの時期だ。新規の投資は実施しにくい」(SBG幹部)。23日には4.5兆円の保有資産を売却し、調達した資金を自社株買いのほか、負債削減に充てると発表。ただし、負債削減を上回るスピードで投資先の株式など保有資産の価値が目減りすれば、財務は悪化する。

25日には格付け会社ムーディーズ・ジャパンがSBGの発行体格付けを2段階引き下げると発表した。保有資産が割安な価格で現金化され、残った投資先の価値が低下する恐れがあるとしたためだが、SBGは「当社が市場で性急に資産を売却し、さらに財務を改善しないという誤った理解に基づく」と反論し、ムーディーズに依頼していた格付けを取り下げた。

SBGは投資先の間で技術などを持ち寄り、相乗効果を引き出す方針だ。投資先の経営悪化は通信事業などの成長戦略にも影響する。国内通信子会社ソフトバンクは19年にワンウェブと業務提携し、同社の衛星を通信網強化に使う計画だった。

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