FRB、企業に直接資金の異例策 社債購入・融資に4兆ドル

2020/3/28 22:30
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【ワシントン=河浪武史】米議会で27日、2兆ドル(約220兆円)の大型経済対策が成立した。これを受け、米連邦準備理事会(FRB)は大企業など事業会社に直接資金を供給する緊急措置を発動する。経済対策には、FRBに最大4250億ドルの「政府保証」を付与する項目がある。FRBはこれを活用して、新たに4兆ドル規模の資金枠を確保する。大企業の社債の購入に加え、最長で4年のつなぎ融資も実行する方針だ。

金融システムの安定を責務とするFRBが、事業会社に資金供給するのは極めて異例だ。2008年の金融危機時に企業が短期資金を調達するために発行するコマーシャルペーパー(CP)の買い入れを発動したことがあるが、損失リスクのある社債の購入や直接融資には踏み込まなかった。新型コロナで企業の売上高が急減しており、中央銀行が直接支援する。

今回成立した経済対策では、企業向けに8500億ドルの資金枠を設けた。3500億ドルは従業員500人未満の中小企業への融資に充て、雇用や給与支給を維持すれば返済を不要にする。

大企業でも航空会社だけは連邦政府が580億ドルの資金枠をつくって直接、出融資を検討する。「国家安全保障の維持」という名目で170億ドルの政府資金も用意するが、米政権には航空機大手ボーイングの救済が念頭にある。

ホテルチェーンや飲食業、小売業、製造業など新型コロナで打撃を受けたほかの企業は、FRBが資金支援する。FRBは事業会社に資金供給を担う特別目的事業体(SPV)を設立。そこに財務省が最大4250億ドルを資本として注入する。

資本を元手に借り入れを活用する民間のファンドと同じ仕組みで、SPVを運営するFRBは資金供給額を拡大する。「4兆ドル規模になる」(ムニューシン財務長官)という新たな供給額の枠を活用して、社債購入や融資を実行する。仮に損失が10%分出ても、政府資金で補填できる仕組みだ。

FRBは関連法で特定企業の支援を禁じられており、社債の購入や融資先の選定は外部に委託する可能性が高い。FRBは23日にも企業向けに資金供給する小規模な制度を立ち上げたが、実務は世界最大の運用会社、ブラックロックに委託した。事業会社への資金供給は「投資適格」の事業会社に限定し、期間も6カ月程度とする方向だ。

FRBは通常、民間銀行にしか貸し出しができないが、経済危機などの緊急時には、財務長官の承認を得れば事業会社や証券会社や、ファンドなどにも資金供給できる。第1弾として17日に企業が短期資金を調達するCPを購入する緊急措置を再発動した。18日にはMMF(マネー・マーケット・ファンド)への資金供給も開始。今回の4兆ドル資金は地方債の購入などにも充てる方針だ。

主要中銀では日銀も社債や上場投資信託(ETF)などを購入対象としている。中銀は主に金融機関から資産を買い入れて金融システムを支えてきたが、事業会社に資金を直接供給する「産業金融」に踏み込みつつある。

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