ソフトバンクGに市場の逆風 投資先が相次ぎ経営難
2000億円出資の英ベンチャー破綻 追加支援断念

ソフトバンク
2020/3/28 13:05
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ワンウェブにはソフトバンクグループが2000億円出資していた(SBGの決算説明会、東京)

ワンウェブにはソフトバンクグループが2000億円出資していた(SBGの決算説明会、東京)

【ニューヨーク=大島有美子】ソフトバンクグループ(SBG)が市場の逆風に苦しんでいる。19億ドル(約2000億円)を出資する英衛星通信スタートアップ企業のワンウェブが、米東部時間27日夜(日本時間28日午前)、チャプター11(米連邦破産法11条)を申請した。SBGは追加支援も模索したが、市場環境の急変で折り合えなかった。

「あと少しで資金を得られるところだったが、新型コロナによる市場動乱で進まなくなってしまった」。ワンウェブは27日に発表した資料で無念さをにじませた。衛星通信を使った広範囲なネット通信網の商用化に向け、2020年初めから20億ドルの資金調達を目指して交渉を進めていたという。だが新たな投資家を確保するまでのつなぎ融資を巡り、SBGと条件で折り合えなかった。

ワンウェブには航空機欧州大手のエアバス、半導体のクアルコムなども出資しているが、SBGが株式の5割近くを握る筆頭株主だ。国内の通信子会社のソフトバンクとも業務提携している。

通信衛星を使った安価なインターネット通信網で21年の商用化を目指し、すでに74基を打ち上げてきた。ただ通信衛星はアマゾン・ドット・コムなどの大手が参入し、競争環境が激化。アドリアン・シュテッケル最高経営責任者(CEO)は「他社より打ち上げ高度が高く、(通信の)カバー範囲も広い」と技術力の高さを自負するが、衛星の打ち上げ費用がかさむなどして資金繰りが悪化していた。

通信分野で技術の知見もあるSBGがワンウェブの追加支援に踏み切らなかったのは、足元の市況悪化の影響が大きい。2月下旬以降の株式市場の急落で、SBG自身も株価の下落に見舞われた。23日には自己株式取得と負債削減に向けて4兆5000億円の資産を売却または資金化すると発表。投資先に対しても従来の積極的な拡大路線よりも、守りを固める姿勢が目立つ。

SBGが主導して経営再建を進めるシェアオフィス大手、ウィーカンパニーの苦境が深まっていることも、SBGの投資姿勢に変化を及ぼしているとみられる。19年10月、経営難に陥った大口出資先のウィーカンパニーに対し、SBGは協調融資(シンジケートローン)や社債発行による50億ドル分の金融支援策などを発表。幹部人事も刷新し、シェアオフィス「ウィーワーク」の事業に集中して不採算物件の削減などを進めている。

3月中旬以降、ウィーの顧客が集中するカリフォルニア州やニューヨーク州などの大都市で相次ぎ外出制限が出された。ニューヨーク、ロンドン、サンフランシスコ、ロサンゼルスでウィー会員数の約3割を占める。移動制限はシェアオフィス利用の急減につながる可能性がある。

格付け大手のS&Pグローバル・レーティングスは23日、ウィーの信用格付けを「シングルBマイナス」から「トリプルCプラス」に引き下げ、債務不履行になる可能性を示唆した。世界景気後退に伴って事業が滞れば、資金の流動性リスクが高まることを理由に挙げた。外出制限と格下げでウィー社債の利回りは急上昇した。18日には35%、23日には36%をつけた。発行当初の金利は年7.875%で、価格は発行時から6割超下落した。

ウィーは26日、SBGから約束されている支援分を含めて44億ドルの現金を確保しているとして、健全性を強調したが、SBGが全面的に支援する中での格下げは痛手だ。市場や景気の低迷が長引けば、SBGが出資先に対して従来より厳しく「損切り」を迫られる可能性がある。投資先との距離感と一層の判断力が求められる局面を迎える。

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