今治造船、JMUに3割出資 営業設計で共同会社

2020/3/27 19:22
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国内造船首位の今治造船(愛媛県今治市)と2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)は27日、資本提携の具体策を発表した。10月にも今治造船がJMUに3割を出資し、営業設計の共同出資会社を設ける。国内シェアは2社で建造量の50%を握る「メガ」造船が誕生するが、世界シェアでわずか1割にとどまる。大型再編で巨大化する中韓勢に勝負を挑む。

「中国や韓国で統合再編が相次ぐなか、知恵を絞りグローバルに打ち勝つ必要があると思った」。27日で都内で開いた記者会見で、今治造船の檜垣幸人社長は力を込めた。今治造船とJMUは2019年11月下旬、資本業務提携に踏み切る方針を示しており、今回は資本や協業スキームを明らかにした。

今治造船が10月1日付で、JMUが発行する新株を譲り受け、議決権ベースで30%出資する大株主になる。現在、約46%ずつ出資しているJFEホールディングス(HD)、IHIに続く比率となる。

提携の第1弾として、10月にも大型タンカーやばら積み船など液化天然ガス(LNG)以外の商船の営業・設計会社「日本シップヤード」を設立する。今治造船が51%、JMUが49%出資し、人員は500人規模となる。

新会社を中核にすることで、新造船の開発スピードを上げて、コスト競争力を高める。檜垣社長は「日本に造船業界を残すため、いい品質で最先端の船を誰よりも早く作る」と説明した。JMUの千葉光太郎社長は「今治造船の規模と販売力を、我々の人材や技術と融合すれば強い会社になる」と述べた。それぞれ幅広い船種を手掛けており、「似たもの同士」(檜垣社長)と設計や調達面でも補完していく。

造船業界を巡る経営環境は厳しい。中国や韓国の造船会社は、政府の資金的な後押しもあり巨大化している。圧倒的なバイイングパワーを武器にして、船価で値下げ競争をしかけている。日本勢にとっては環境規制への対応もあり、逆風下で開発費などコスト負担も重荷となる。

足元では新型コロナウイルスの感染拡大も追い打ちをかけて、「特に欧州の顧客はほとんど事務所にも来られず、引き合いもままならない」(檜垣社長)と瀬戸際に立たされている。

今治造船はJMUとの資本提携により、成長戦略を大転換する。これまで100%を出資するかたちで造船所を引き受ける「救済型」が中心だった。今回は3割を出資し一歩踏み込み、環境規制への対応、次世代船の技術底上げなどに総力で挑む構えだ。

「ゆくゆくはオールジャパンになるのかもしれない」(JMU千葉社長)。国内の造船業界はかつて川崎重工業と三井造船(現三井E&Sホールディングス)が統合を模索したが破談となった。業界再編は無風状態が続いて、国際競争に取り残されていった。

国内1位、2位の連合に対して、「同族経営の専業造船会社など危機感の強い企業が加わる可能性がある」(大手造船幹部)。スピード全開でシナジー効果を発揮できるかが、求心力を高めるエンジンとなる。ニッポン造船の存亡がかかっている。(西岡杏)

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