インド中銀、元利支払い3カ月猶予 5.4兆円量的緩和

2020/3/27 18:08
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【ムンバイ=小柳建彦】インド準備銀行(中央銀行)は27日、銀行、ノンバンクによる融資のすべての元利支払いを3カ月間猶予すると発表した。同時に3.7兆ルピー(約5.4兆円)に上る資金を市場に注入する量的緩和策も打ち出した。新型コロナウイルス対策で政府が25日から21日間の全土封鎖に踏み切ったため、企業や個人の倒産・破産を防ぐ。コロナ対策の都市封鎖で世界中で次々経済がまひするなか、融資返済猶予(モラトリアム)はインド以外にも広がる可能性がある。

ダス中銀総裁が27日午前、緊急会見で金融面での総合コロナ対策を発表した。

3月1日時点で残高のある銀行、ノンバンクからの融資について元利支払期限を3カ月延長する。企業向け融資や個人の住宅ローン、自動車ローンなど毎月支払い型のローンにも適用されるほか、クレジットカード利用額の支払い期限にも適用される。企業が運転資金確保に使う当座貸し越しについても利払いを3カ月猶予する。

銀行に着実にモラトリアムを実行してもらうため、すべての猶予行為を自己資本規制や不良債権管理規制などで問題資産扱いしないことも宣言した。

さらに社債、コマーシャルペーパーなどの民間負債証券を中銀が発行市場、流通市場の両方から買い入れるほか、銀行の支払準備率を緩めるなどして、合計3.7兆ルピーの資金を供給する。インドの2019年度の推計国内総生産(GDP)は209兆ルピーで資金供給規模はその約1.8%にあたる。

伝統的な金融緩和も進める。27日、政策金利を5.15%から4.4%に0.75%引き下げ、政策借り入れ(リバースレポ)金利を0.9%引き下げて4%とした。銀行の余資運用に使われるリバースレポ金利を下げて、より多くの資金が民間経済に向かう効果を狙う。

インドの新型コロナウイルス感染者数は27日午前時点で724人、死者数は17人と中韓や欧米に比べてまだ少ない。しかし、モディ首相率いるインド政府は、医療体制が脆弱な同国ではイタリアやスペインのようなオーバーシュート(爆発的な感染拡大)を未然に防ぐ必要があると判断。25日から21日間の全土封鎖を施行し、事業所、商業施設をすべて閉鎖したほかすべての公共交通機関も停止した。

昨年からインドは深刻な経済減速に苦しんでいた。コロナ危機前の推計では2020年3月通期の経済成長率は2年連続の減速で5%前後に下がる見込みだった。それでもモディ政権はコロナ感染の拡大を警戒、一気に経済活動を止める苦渋の決断を下した。放置すると破産、倒産が瞬く間に広がる恐れがあった。

26日に貧困層向けの現金・食料支給を政府が発表したのに続き、中銀が金融面でかつてない規模、多画性の対策を打ち出した。今のところ市場は「RBI(インド中銀)バズーカ」と呼び歓迎している。

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