イスラエル、一転連立へ 野党連合トップが国会議長に
新型コロナ危機で収束へ 米も支援

2020/3/27 17:56
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【ドバイ=飛田雅則、ワシントン=中村亮】イスラエル政局の混乱が収束に向かうとの観測が出ている。中道野党連合「青と白」トップのガンツ元軍参謀総長が26日、対立するネタニヤフ首相の政権に一転して参加する見通しとなった。支持勢力が国会(定数120)の過半数に届き、ネタニヤフ氏が続投する公算が大きい。新型コロナウイルスへの危機対応が合意を促したもようで、中東政策の要として同国の安定を重視するトランプ米大統領が後押しした可能性もある。

イスラエルのネタニヤフ首相=AP

イスラエルのガンツ元軍参謀総長=AP

同国メディアによると、ネタニヤフ氏が当面は首相を務め、ガンツ氏が2021年9月に引き継ぐことで合意したという。それまでガンツ氏が外相に就くもよう。

ガンツ氏は16日、各野党の61議員から首相候補の推薦を得たため、リブリン大統領から組閣を指示された。新型コロナ感染拡大で「挙国一致政権が必要」とし、与党リクードとの連立を訴えた。

国会は26日、リクードなど多数の賛成で、自ら名乗りを上げたガンツ氏を議長に選出した。有力紙グローブスのタル・シュナイダー氏は「挙国一致政権をつくるため、議長の立場で幅広い勢力と協議する狙いだった」とみる。一方、収賄罪などで初公判を控えるネタニヤフ氏の続投阻止を求めてきた野党連合議員からはガンツ氏の急な方針転換に批判が噴出。「青と白」は分裂した。

ガンツ氏が協調に傾いた背景には新型コロナへの危機感がある。米ジョンズ・ホプキンス大によるとイスラエルの27日時点の感染者数は2693人で1週間前から約4倍に急増。人口比で中東ではイランに次ぐ規模だ。

「対応が急務な時に、4度目の総選挙は避けたい」とガンツ氏は語る。1年で3度の総選挙が実施され、政局の混乱が長期化していた。

有力紙ハーレツは「ガンツ氏は疲れ、(ネタニヤフ氏に)抵抗する意欲を失った」とみる。「参謀総長時代、ガンツ氏はネタニヤフ氏と良好な関係だった」とも指摘する。政権に参加するのはリクードやユダヤ教政党に加え、ガンツ氏を支持し「青と白」を離脱した議員で計70議席超という。

ただ連立が成立しても、中東和平は進展が見込めない。トランプ氏はネタニヤフ氏の続投を歓迎するとみられる。米がパレスチナに強硬姿勢を続けるのは確実で、イスラエルとパレスチナの対立は火種としてくすぶる。

トランプ氏がイスラエルに肩入れした中東和平案を1月に発表した際、ネタニヤフ氏が同席し両氏の信頼関係を国内外に印象づけた。同月にホワイトハウスにネタニヤフ、ガンツ両氏を招き、仲介を買って出たとの観測もある。

トランプ氏はイスラエルとの良好な関係を望むキリスト教福音派を支持基盤としており、11月の大統領選に向けネタニヤフ氏との協力関係をアピールできる。ユダヤ系の富豪から親イスラエル政策を支持する声があり、献金などを通じて再選の支援を得たい考えだ。

米国はイランの中東での影響力を抑えるため、イスラエルと連携を強化する公算が大きい。米は3月にイラクで親イラン武装勢力を空爆し、イスラエルもたびたびシリアでイランとつながる勢力を攻撃してきたとされる。

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