在庫は十分、買いだめ避けて 国など冷静対応呼びかけ

2020/3/27 17:52 (2020/3/28 7:17更新)
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都内のスーパーでは牛乳など一部商品が品薄になった(27日、東京都台東区)

都内のスーパーでは牛乳など一部商品が品薄になった(27日、東京都台東区)

首都圏で週末の外出自粛要請が出されて以降、各地のスーパーなどで食料品を買いだめする動きが広がっている。日常の買い物まで自粛が求められているわけではないが、先の見えない不安から消費者が殺到。国や業界は「在庫は十分にある。普段通りの買い物を」と冷静な対応を呼びかける。専門家も「物流や製造拠点は正常に機能している」として、消費期限切れなどの食品ロスにもつながると注意喚起している。

東京都世田谷区のスーパーでは27日夕、買い物客で混雑する店の棚に白菜やキャベツはなく、豚肉や鶏肉のコーナーは空きが目立つ。インスタント食品やパンの売り場も商品はまばらだった。

同区の女性(83)は東京都の小池百合子知事が25日に週末の外出自粛を呼びかけたことを受けて「事態が悪化すれば外出しづらくなるかもしれない」と考え、スーパー2店を回ったという。2週間分の野菜や卵を買ったが、目当ての豆腐などは見当たらなかった。「さらに店を回るのは体力的に厳しい」と疲れた表情をみせた。

スーパーでは25日以降、食料品や日用品を中心とした買いだめが発生している。関東に地盤を置く大手のサミットやいなげやでは、26日の売上高が前年の2倍近くになったという。売り場では冷凍食品や即席麺など保存の利く食品を中心に、欠品が目立つ状態が続いている。

日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は「周囲の人の買いだめを見た人が不安に駆られて買いだめをして、一時的なパニック状態になっている」と分析。「メーカーや卸の在庫は十分にある。安心して普段通りの買い物をしてほしい」と呼びかける。

小池知事も27日の記者会見で「(外出自粛の要請は)食品や医薬品を買ったり、通院したりすることを制限するものではない。食品は必要な量の購入にとどめていただきたい」と述べた。

店頭の欠品が目立つのは一時的に需要が急増し、配送が追いついていないことが大きな理由だ。スーパー側も対応を進め、物流では関係事業者が協力体制を整えている。いなげやでは26日の昼時点で店舗から配送センターへ加工食品の発注が通常の2倍ほどあったが、増便するなどして全量を出荷したという。

売り場でも、品薄になりがちな品目については買い物客ごとの購入制限を設けるなどして、冷静な対応を求めている。

農林水産省も26日に「落ち着いた購買行動をお願いします」と訴えるホームページを設けた。主食の米の在庫は全国の需要量の約6カ月分あるほか、パスタやレトルト食品の在庫も十分で、さらに増産体制に入ったことを説明。担当者は「不安を払拭できるよう細かな情報発信を続けたい」と話す。

東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害・リスク心理学)は「自然災害と違って物流や製造拠点は正常に機能しており、冷静な行動が重要だ。買いだめは余剰品の消費期限が切れて食品ロスが起きかねないほか、本当に必要な家庭に物が行き渡らず、子供や高齢者といった生活弱者にしわ寄せが及ぶ恐れがある」と指摘している。

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