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日通、新型コロナで傷ついた中国物流の維持に躍起

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

新型コロナウイルスの拡大で中国と国外を結ぶ航空便が大きく減少する中、日本通運が物流網を維持しようと新ルートの模索を続けている。欧州向けには定期運行を始めた貨物列車「中欧班列」を活用するほか、荷物を日本に運んだ上で欧米に空輸する手法も顧客に提案している。航空チャーター輸送の価格高騰に対応する。

中国発の国際線は新型肺炎がまん延する前に比べ8~9割も減少している。日通は3月に中国発着で40機のチャーター機を運航、2500トンを運ぶ。しかし、スペースの取り合いになっている上、価格も通常の2~3倍に高騰している。荷主企業にとっては目先の緊急避難的な輸送はともかく、中長期的には受け入れづらい価格だ。

中国は国内の新規感染が徐々に収まり、企業活動の再開にかじを切り始めている。一方で欧州や米国では新型コロナの感染者が急増、旅客の往来を絞らざるを得ない状況が長引きそうだ。トラック運送も長距離の輸送で不安定さが残る。顧客ニーズに応えるには航空、トラック運送に頼らない物流の再構築が必要になっている。

日通は西安とドイツを結ぶ貨物列車の定期運行を2019年から手掛ける。江蘇省や浙江省の貨物は主に上海に集め、西安を経由して欧州に運ぶ。上海からドイツのデュイスブルクまでの必要日数は26日と、40日ほどかかる海運より大幅に短縮できる。影響が少なかった西安駅は2月12日にいち早く中欧班列の運行を再開している。必要な人員が少なく、感染リスクも小さい鉄道は中国当局にとっても活用しやすい輸送手段だ。

トラック輸送に制約が残るなか、中国内陸部からも鉄道の利用拡大を図る。四川省成都、重慶から東南アジアや欧州向けには、広西チワン族自治区の欽州港まで鉄道で運び、海運に切り替える。重慶からシンガポールまで10日ほどで運べるという。成都、重慶から浙江省寧波まで鉄道で運び、日本まで海運を活用するルートもある。

減少が相対的に小幅な日本発の航空便を利用する運送商品も開発した。上海港から東京港まで海運で運び、成田空港発で欧米に運ぶ。自動車関連など物流が多く、かつ緊急性が高い産業でのニーズを見込む。需要に応じて海外発、中国向けも検討する。

上海や寧波を起点に、大連や天津、青島など中北部と、アモイや広州、深圳など南部を結ぶ内航海運の積極活用も模索する。

北京首都国際空港では国際線の検疫手続きを別の空港で実施するなど、中国の各都市は新型コロナウイルスの「逆輸入」を防ごうと極端な手立てを打っている。対策は今後も強化される可能性が高く、物流各社の可能な輸送手段を探る柔軟な対応が必要になりそうだ。

(上海=張勇祥)

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