レナウン、総会で社長再任否決 中国の親会社が反対

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2020/3/27 0:05
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アパレル大手のレナウンは26日、同日の定時株主総会で、神保佳幸社長と北畑稔会長の取締役再任案が否決されたと発表した。5割超出資する親会社の繊維大手、中国・山東如意科技集団が議案に反対したためだ。山東如意には、レナウンを含むグループの事業環境が悪化していることへの焦りがある。提携から10年。新型コロナウイルスの逆風が吹くなか、戦略的な協業は進んでおらず先行きは不透明だ。

山東如意の邱亜夫董事長(左)とレナウンの北畑稔社長(当時)が連携を進めてきた(写真は2010年の提携記者会見)

26日、東京都内で開かれたレナウンの定時総会で、神保佳幸社長と北畑稔会長の再任案が否決された。その後の取締役会で、同日付で毛利憲司取締役を社長に昇格させる人事を決めた。神保氏は相談役に、北畑氏は顧問にそれぞれ退く。

「経営陣の体制を見直した方がよいのではないか」。山東如意が、これまでのレナウン経営陣を続投させる議案に反対すると通告したのは、既に取締役の人事案をのせた総会の招集通知を公表した3月半ばだった。レナウンの2019年12月期の連結最終損益は67億円の赤字。2期連続の赤字となり、業績悪化を問題視したとみられる。

レナウンが赤字になったのは山東如意グループから売掛金の回収が滞り、53億円の貸倒引当金を計上したことが大きい。レナウン側は今回の総会で人事案に反対しないよう説得を試みた。しかし、山東如意の関係者は26日の総会で「足元の市況が厳しいので体制を見直したい」と発言。山東如意側に押し切られた。

解任された北畑氏と山東如意の邱亜夫董事長は、2010年に両社が資本提携した時からトップ外交を担ってきた間柄だ。レナウンは傘下入り後、40以上のブランドを半数以下にするなど、不採算事業の整理を進めた。

しかし、山東如意との連携は思うように進まなかった。提携当初は山東如意の生地から縫製を手掛ける「川上」のノウハウと、商品企画などのレナウンの知見を合わせ、販売を強化する計画だった。11年には中国の合弁会社を設立。レナウンのカジュアルブランドなどを扱う店舗を1000店舗展開する方針を掲げていたが、業績不振で14年に撤退した。

山東如意の邱董事長は17年の日本経済新聞のインタビューで「(中国などの)海外事業は期待通りではなかった」と発言していた。

今回のレナウン人事への介入は、山東如意自体の厳しい事業環境も背景にあるようだ。「米中摩擦で海外向けの商品の売り上げが減少し、中国の景気減速で販売が振るわないようだ」(レナウン関係者)という。新型コロナの影響で現在も休業している店舗は少なくない。中国のアパレル業界は厳しい状況に追い込まれている。

山東如意はレナウンのほかにも、欧米のファッションブランドを買収し拡大路線を続けてきた。レナウンを含め買収した企業の経営は軌道に乗っていないとみられる。中国メディアによると、最近も買収先のリストラに伴う損失を計上するなど苦戦が続いていたという。山東如意は資金回収を巡って取引先とトラブルになるケースがあったとの一部報道もある。

レナウンは、商品企画などの経験が豊富な毛利氏を社長に昇格させることで、百貨店だけでなくショッピングセンター向けなどを強化する方針だ。ただ新型コロナで国内外の販売環境は厳しさを増す。親会社の山東如意によるレナウンのトップの入れ替えだけで、今の厳しい状況を打破するのは難しい。

レナウン内部では「(今回の人事介入も含め)山東如意の狙いがわからない」との見方がくすぶる。業績回復への具体策をどう示すのか。毛利新社長が率いるレナウンの新体制は多難の船出となる。

(勝野杏美、花井悠希)

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