途切れたアベノミクス景気、3月月例「回復」消える
6年9カ月ぶり、新型コロナがとどめ

2020/3/26 18:23
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月例経済報告関係閣僚会議に臨む安倍首相(26日、首相官邸)

月例経済報告関係閣僚会議に臨む安倍首相(26日、首相官邸)

政府は26日まとめた3月の月例経済報告で6年9カ月ぶりに景気の基調判断から「回復」の文言を削除した。2012年末の第2次安倍政権発足から続いてきたアベノミクス景気が途切れたことを意味する。民間エコノミストの間では、新型コロナウイルスの発生前から米中の貿易戦争や消費増税などで景気は後退入りしていたとの見方が多い。先行きも内需・外需ともに厳しい。

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月例経済報告を担当する西村康稔経済財政・再生相は26日の記者会見で、「緩やかな回復基調は明らかに転換し、下降局面に入っている」との認識を示した。

政府は毎月まとめる月例経済報告で、18年1月以降「緩やかに回復している」との基調判断を示してきた。「回復」の表現は、第2次安倍政権が発足して約半年たった13年7月に「自律的回復に向けた動きもみられる」として登場。以後「緩やかに回復しつつある」「緩やかな回復基調が続いている」など何らかの形でずっと「回復」の2文字は残ってきた。

18年後半以降は米中貿易摩擦が強まり、世界経済が減速。日本経済をけん引してきた輸出が落ち込み、生産も停滞感が強まった。19年10月に消費税率を引き上げると、これまで内需を支えてきた個人消費や設備投資も下向き、10~12月期は5四半期ぶりのマイナス成長に転じた。

厳しい局面が続くなか、政府は19年以降、月例経済報告で景気判断を4回引き下げながらも、「緩やかに回復」という基調は堅持してきた。しかし3月は新型コロナの感染が世界的に急拡大。政府によるイベント自粛や休校の要請により、猛スピードで実体経済にも悪影響が広がり、景気判断を「厳しい状況にある」へ大幅に引き下げた。

安倍政権はこれまで雇用・所得環境の安定を重視し、景気が「回復」しているという判断を維持する最大の根拠としてきた。19年10月の消費増税の前後は、判断を大きく下げにくいという事情もあった。しかし、有効求人数の減少や一部の業種でパート時給が下がるなど、新型コロナの影響が雇用にも広がり始めて、「回復」の維持はいよいよ難しくなった。

民間エコノミストの間では、日本の景気はすでに後退局面に入ったとの観測がほとんどだ。景気の「山」は米中の対立が激化した18年10月や、消費増税前の19年春~秋だったとみる人が多い。

第一生命経済研究所の新家義貴氏は18年10月を山として、景気はすでに後退局面に入ったとみる。「4~6月期まで3四半期連続のマイナス成長は確実だろう。落ち込みが大きいサービス業ではパートや派遣労働者が多く、雇用への影響が懸念される」と指摘する。

新型コロナの感染は国内外でまだ拡大傾向にあり、内需・外需ともに早期の底打ちは見込めない状況だ。景気の「山」や「谷」は正式には経済学者らで構成する内閣府の専門家研究会が判定する。これまで戦後最長の景気回復局面は02年2月から08年2月まで73カ月続いた「いざなみ景気」だった。

仮に18年10月を景気の「山」と認定した場合、政府がこれまで言及してきたアベノミクスによる「戦後最長景気」の更新は幻だったことになる。

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