米2兆ドル景気対策が成立へ FRB、一般企業にも資金

2020/3/26 15:09 (2020/3/26 23:59更新)
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【ワシントン=河浪武史】米上院は25日、新型コロナウイルスに対処する2兆ドル(約220兆円)規模の大型経済対策法案を賛成多数で可決した。法案は27日に下院でも採決し、早期成立を目指す。産業界に5000億ドルの救済資金を用意し、米連邦準備理事会(FRB)が企業に資金供給する新制度もつくる。米経済は4~6月期に大幅なマイナス成長が見込まれるが、企業と家計の資金ショートを防ぐ。

トランプ大統領は大量の資金供給で米景気のV字回復を狙う(25日、ワシントン)=ロイター

2兆ドルの新型コロナ対策は21兆ドルある米国内総生産(GDP)の1割に相当し、08年の金融危機後の経済対策(7000億ドル)を大きく上回る。ホワイトハウスは「単独の経済対策としては過去最大だ」(クドロー国家経済会議委員長)としている。

下院は野党・民主党が多数派だが、同党のペロシ下院議長は景気対策法案は可決すると表明している。トランプ大統領は「議会が可決すれば、すぐさま署名する」としており、27日中にも大型景気対策が成立しそうだ。

航空会社や宿泊業など、新型コロナで打撃を受けた産業に5000億ドルの資金枠を設ける。出融資によって企業の信用を高める狙いだが、野党・民主党の要求で(1)経営者の報酬増に使わない(2)自社株買いに充てない(3)従業員の給与水準を一定以上に保つ――などの条件を課した。巨額資金を用意したが、議会が使途を監視するため、活用をためらう企業も出てきそうだ。

5000億ドルの一部は、FRBの新たな資金供給策の原資とする。新型コロナで経営に影響を受けた一般企業向けにFRBが資金を供給し、これまで手掛けてこなかった社債の購入などを検討する。FRBの役割は従来の金融支援から産業支援へと大きく広がりそうだ。地方債の購入なども可能になり、州・地方政府の資金支援も強める。米政権はFRBの新たな資金供給の規模を「最大で4兆ドル」(ムニューシン財務長官)と見込む。

景気刺激策では家計への資金支援として、大人1人に最大1200ドル、子供には500ドルを支給する。労働者は一時帰休や無給休暇などで手元資金が枯渇する可能性があり、現金を直接支給して生活の「安全網」とする。失業給付の拡大なども盛り込んだ。

中小企業向けには3500億ドルの融資枠を用意する。雇用を維持して従業員に給与を支払えば、政府資金の返済を不要とする。事実上の給与補填制度で、中小企業が従業員を安易に解雇しないよう促す仕組みだ。

米国は4~6月期の経済成長率が戦後最悪の2桁のマイナス成長になるとも予測される。ただ、米政権は新型コロナの感染拡大が止まれば「米景気は急回復できる」(トランプ大統領)とみる。景気悪化を長期化させないためには、資金ショートを防いで企業倒産と失業増を食い止め、経済の基盤を維持する必要がある。家計と企業への大量の資金供給で、景気のV字回復を狙う。

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