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ホッケー女子・攻守の要、1年後もっと強くなる

Tokyo2020
新型コロナ
2020/3/26 17:00
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪の2021年への延期が正式に決まった。この夏の勝負を見据え、練習に励んできたアスリートたちの受け止め方は様々だ。04年アテネ五輪から連続出場を続けているホッケー女子日本代表「さくらジャパン」の攻守の要は、延期で生まれた時間をレベルアップの余白ととらえ、前を向こうとしている。

ボールを巧みに浮かす「3Dドリブル」が清水の武器

ボールを巧みに浮かす「3Dドリブル」が清水の武器

FW清水「レベルアップできる」

「まだ気持ちの整理はついていませんが、レベルアップできる時間ができたと、ポジティブな捉え方もできている」。延期決定から一夜明けた25日、さくらジャパンFW清水美並(ソニー)の視線は、既に1年後に向けられていた。

ボールをひょいと浮かせてかわしたかと思えば、ポンポンとバウンドさせながら巧みに運ぶ。昨季の日本リーグMVPには代名詞ともいえる武器がある。「3Dドリブル」と呼ばれるスティックさばきだ。

ホッケーでは安全面の理由からボールを膝上の高さまで上げることが禁止されてきた。だが、16年のルール改正によってボールを浮かすプレーが緩和されたことが、日本屈指のドリブラーの追い風になった。

「以前もボール1個分くらいは浮かしていたけど、空中でのタッチ数を増やすなど、引き出しが増えた」と清水。手足のリーチが長い海外勢に対して、これまでのドリブルは相手をよけようと大回りになっていた。「3Dドリブルなら一瞬で相手とすれ違って置き去りにできるし、最短距離でシュートまでいける。相手にすれば、わかっていても取りにいけないのが3Dドリブル」

もちろん、誰でもできる芸当ではない。清水の華麗なスティックさばきは、幼少期から育まれたものだ。小学3年でホッケーを始めたとき、滋賀県伊吹町(現米原市)の自宅庭に父が敷いてくれた縦10メートル、幅2.5メートルほどの人工芝があった。ここで2人の兄とドリブル練習に明け暮れた。「当時からシュートよりドリブルが好きでした」

ボールコントロールもさることながら、ドリブルのスピードも持ち味だ。清水はスティックを他の選手より10センチほど長く持つ。姿勢が高くなることで加速がつき、顔が上がって視野も広がる。

4年前のリオデジャネイロ五輪(10位)では悔しい記憶しかない。「ボールが回ってくる回数も少なかったし、何もできずに終わった」。そこから4年間、キャップ数100を数えるまで経験を積み、国際舞台でも通じるFWに成長。昨年7月、リオ金メダルの英国から金星を挙げた一戦でも2ゴールを奪った。

「一人ひとりの成長がチームの成長にもつながる。この1年を自分のものにできるように頑張りたい」と清水。アンソニー・ファリー監督の下、チームは攻撃的なスタイルへの進化の途上にある。その一翼を担う魅惑のドリブラーもここから1年、挑戦を続ける。

(山口大介)

景山(中)は昨年、国際ホッケー連盟の女子最優秀GKに初めてノミネートされた

景山(中)は昨年、国際ホッケー連盟の女子最優秀GKに初めてノミネートされた

GK景山「目指すゴールは同じ」

「どうなるのか、決定が出るまでは不安だったが、中止ではなく延期でよかったと思う」。GK景山恵(ソニー)は五輪延期を泰然と受け止めている。いかにも頼れる守護神らしい。

最後方からチームに指示を出し、日本人では比較的大きい身長173センチの体を張ってゴールを守る。高校でホッケーを始めてからGK一筋。「全部(シュートを)止めないといけない。完璧を求めている」。1点が明暗を分ける競技で完封への意識は強い。

中学時代はソフトボールで捕手。ボールの速さに慣れ、守備の要は性に合っていた。「人を動かして守るタイプ。ソフトをやっていたからか、スティックに当てられるし、上に来た(ボールを止める)プレーは得意」

昨年8月のテスト大会ではグローブが外れても素手でボールをはじく好セーブがあった。強豪国の選手ともなれば時速120キロになるシュートを恐れず、身をていしてでも死守しようとする気持ちの強さが持ち味だ。

社会人になって日本代表入りし、代表キャップ74。昨年は国際ホッケー連盟の女子最優秀GKに初めてノミネートされて2位に入った。世界から注目され、「うれしい半面、びっくりの方が大きかった。どうせなら1位が良かったかな」。格上と対等に戦えるようになった日本の成長曲線に沿う形で、自身への評価も高まってきた。

GKはフィールド外でもホッケーを考える時間が長い。失点率が高くなるセットプレー(ペナルティーコーナー)の守備の分析は大切な仕事。映像で相手の動きを確認しながら陣形を考え、本番ではその通りに味方を動かす。守備陣との連係は生命線。普段から意思疎通を図り、各選手の性格を理解した上で指示を出す。「そこで(相手を)止められるかで信頼関係が変わってくる」

1月のアルゼンチン遠征では、ボールを引きずるようにして強く押し出す相手のシュートにてこずった。コースを狙われた際にセーブする技術を磨く必要性を痛感し、東京五輪への課題を明確にした。「それを止められないと世界一になることは無理。1年後でも目指すべきゴールは変わらないので、できた時間をプラスに変えたい」。己がシュートを止めることが勝利に直結する。その責任感を持ってここから先も戦い抜くつもりだ。

(渡辺岳史)

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