感染者急増で外出自粛要請、小池都知事「重大局面」
「感染爆発の重大局面だ」。新型コロナウイルスの感染者急増を受け、東京都の小池百合子知事は25日夜、都庁で緊急の記者会見を開き、感染拡大への強い危機感をあらわにし、都民に週末の「不要不急の外出」を自粛するよう要請した。都内の感染者はここ数日で急増。1日当たりの感染者は23日に16人、24日に17人、25日に41人となり、3日連続で過去最多を更新して計210人になっている。
25日午後8時すぎから緊急会見した小池氏は「今週になりオーバーシュート(爆発的な感染拡大)の懸念がさらに高まっており、今まさに重大な局面だ」と険しい表情で語った。都民に向けて「平日はできるだけ仕事は自宅で行い、夜間の外出は控えてほしい」「週末は急ぎでない外出は控えてほしい」と訴え、「危機意識を持って行動するようお願いする」と呼びかけた。
都によると、外出自粛要請の対象期間は4月12日までという。ただ、小池氏は都内の「都市封鎖(ロックダウン)」は今すぐに実施する状況ではないとの認識を示し、その判断基準については「有識者などの助言をもらいながら、ある程度は政治的判断も必要になる」と説明した。
都では最近、小規模な感染者集団(クラスター)ではなく、感染経路を追えない感染者が増えている。25日に新たに確認された感染者41人のうち、経路が不明なのは10人以上で、感染が確認された人の背後でさらに感染が拡大している可能性があるという。
25日の会見で小池氏は、海外から帰国した人は帰国から14日間外出を自粛することや、大学などでは新学期の開始時期を遅らせるなどの対策も要請。屋内外を問わずイベントの開催や参加を自粛することを求めた。都外からの出入りの多い都の特徴も踏まえ、近隣の県知事と連携を取りながら最善策を検討していくとした。
28日に都内で開催予定だった大規模格闘技イベント「K-1」については「都の要請で無観客試合になった」と明らかにした。K-1を巡っては埼玉県と国が開催自粛を求めたイベントが22日にさいたま市であり、約6500人が訪れて批判が集まっていた。
都内の感染者数は3月半ばまでは大きなクラスター(感染者の集団)が発生した北海道や愛知県、大阪府に比べて少なく抑えられていた。しかし、その後1日に10人以上の患者が報告される日が相次いだ。18日は計109人だったが、この1週間で倍近くに増加した。
気温が暖かく桜の開花が進んだ20日からの3連休は、都内で花見の名所を中心に多くの人出が見られたほか、新宿や渋谷などの繁華街でも人出の多い状態が続いた。このため、都庁内では長く続く自粛への飽きや気の緩みを警戒し、引き締めを図る必要があるとの意見も出ていた。
感染が拡大している地域では、自治体が住民に移動を避けるよう要請するケースが相次ぐ。北海道では2月28日~3月19日まで緊急事態宣言を出し、週末の外出自粛要請や一斉休校を実施。大阪府と兵庫県では先週末、両府県の不要不急の往来を控えるよう求めた。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?