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五輪延期、中部に動揺や理解 企業や自治体で
新型コロナ・中部の衝撃

2020/3/25 21:55
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新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪・パラリンピックの延期が決まった翌25日、中部地方でも動揺や理解が広がった。

■企業、対応急ぐ

トヨタ自動車は国際オリンピック委員会(IOC)などと最高位のスポンサー契約を結んでいる。東京五輪では選手村の巡回バスとして自動運転電気自動車(EV)「イーパレット」の走行などを計画。「大会延期の影響、対応を至急、検討している」と話す。

三重県の聖火リレー開催までの日数をカウントダウンするボードが撤去された(25日、三重県庁)

三重県の聖火リレー開催までの日数をカウントダウンするボードが撤去された(25日、三重県庁)

中止という最悪の事態は避けられたものの、延期に伴い今後の五輪需要を懸念する企業は多い。段ボールメーカー、ダイナパックは主力の家電向け梱包材の需要減を警戒する。4Kテレビなどの「家電は五輪直前に消費が盛り上がるが、延期で先行きが読めなくなった」。

オフィシャル寝具パートナーのエアウィーヴ(愛知県大府市)は、スポンサー料の一部として自社負担で寝具約2万床を選手村に納入する計画だ。9000床分は設置済みという。追加で費用が生じるかどうかは現時点で見えないという。すでにテレビの広告枠などを手配済みで、今後、事業計画に影響が出る可能性がある。

今仙電機製作所の子会社、今仙技術研究所(岐阜県各務原市)は義足の板バネメーカーで、東京大会で6度目の日本代表に内定している陸上の鈴木徹選手の義足部品を手掛ける。一般向けも生産しており事業への直接的な影響は限られるが、「代表に内定している選手たちが無事に出場できるかが心配だ」。

スポーツ用品大手のミズノと卓球ラバーを共同開発しているのは、住友理工。五輪選手らの採用をにらむ。新事業材料技術室の間瀬昭雄担当課長は「日本人がメダルを獲得して卓球人気が高まることを期待していただけに残念でもあり、寂しい」と打ち明ける。

中部経済連合会の豊田鐵郎会長は「選手や観客の安全・安心を考えた上での苦渋の決断でやむをえないものだ」と、今回の延期に理解を示した。

■県庁、看板下ろす

中部の自治体も急きょ対応を迫られた。全国の都道府県で5番目、中部3県では最初の聖火リレーを4月4~5日に予定していた岐阜県。24日夜、大会組織委員会からメールで中止の連絡を受けた。26日以降、走行ルートの交通規制を知らせる看板の取り外し作業に入るという。

愛知県庁では25日午前、聖火リレーをPRする看板2枚を取り外した。三重県の鈴木英敬知事は、五輪後の21年秋に控える国民体育大会と全国障害者スポーツ大会について、予定通り開催する方針を示したたうえで、こう続けた。「五輪の再日程が決まるまでに課題を抽出する」。

懸念は自治体が計画するイベントにも及ぶ。名古屋市は文化庁の補助金を活用し、五輪期間に合わせて訪日外国人(インバウンド)ら向けに音楽や伝統芸能を体験できるイベントを予定していた。担当者は「補助金がどれくらい出るか分からないが、できる範囲で開きたい」と話している。

■宿泊キャンセル

海外から五輪参加選手らを受け入れるホストタウンの自治体担当者らは困惑する。

ギリシャのホストタウン、愛知県稲沢市では同国の聖火リレーに市内の中学生を派遣予定だったが取りやめたばかり。五輪後に代表選手を招いて市民との交流を検討していたが、市担当者は「ゼロから考え直さないといけない」とこぼす。

「1年以上前から準備を整えていたが、白紙になってしまった」。岐阜県中津川市のオリンピック対策室の松井嘉之室長は肩を落とす。米国のホストタウンとして、7月中旬からレスリングチーム一行の事前合宿を受け入れる予定だった。五輪延期の発表を受け、昨年夏に手配を済ませていた市内の宿泊施設を25日になって急きょキャンセルした。

愛知県での聖火リレー出発式に向け用意した御朱印(25日、愛知県瀬戸市の深川神社)

愛知県での聖火リレー出発式に向け用意した御朱印(25日、愛知県瀬戸市の深川神社)

スペインのホストタウンの三重県志摩市も、5月と7月に控えていた合宿の中止を余儀なくされた。生涯学習スポーツ課の担当者は「あまりマイナスに考えず、この機会にじっくり時間をかけて、スペインとの交流の形を模索し直したい」と前を向いた。

愛知県内の聖火リレーのスタート地点だった瀬戸市の深川神社は記念の御朱印500枚を作り、4月6日の出発式に備えていた。「市民も楽しみにしていたので残念。改めて聖火リレーが行われても、出発地に選ばれるか今は分からない」と、宮司の二宮あづささんは戸惑いを隠せない。

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