部活動指導員の人材確保、学生の活用広がるか

風紋
コラム(社会・くらし)
2020/3/29 2:00
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響で学校がほぼ休校となる中、卓球Tリーグ女子、日本ペイントマレッツ(大阪市)が3月上旬、公式ツイッターでレッスン動画の配信を始めた。

シンポジウムでは部活動指導員を務めた学生らが体験談を語った(1月24日、大阪体育大学)

元女子日本代表コーチの三原孝博監督が、小中高生が自宅でできる練習メニューを1回1分程度のミニ講座で紹介。休止中の部活動の支援が主目的だが、その先では顧問教諭向けの講習会開催も検討している。

日本ペイントによると、公式戦への招待などで交流のある中学校の卓球部顧問の多くが「練習方法を教えてほしい」と要望。競技経験がないのに「プロの練習を見たい」と見学に来た顧問もおり、その熱意に応えたいと考えていたという。

日本の競技スポーツを支える裾野には個々の教員のこういう熱意、努力があったのだと、あらためて頭が下がる思いだ。だが、教員の負担に依拠した部活動は今、曲がり角に立つ。

経済協力開発機構(OECD)の調査(2018年実施)によると、日本の中学校教員の勤務時間は、加盟48カ国・地域で最長の週56.0時間。特に部活動などの課外活動指導は平均の4倍、7.5時間と突出していた。教員の働き方改革を阻む現行の部活動のあり方は、持続可能性という点で大きな疑問符が付く。

教員の負担を軽減する処方箋の一つに、17年に制度化された部活動指導員がある。大阪体育大(大阪府熊取町)は1月下旬、運動部の部活動改革をテーマにシンポジウムを開催。部活動指導員に学生を活用するプランの可能性を議論した。

部活動指導員は学校職員と位置づけられ、顧問に代わって指導、校外引率なども行う。競技経験、知識がある指導員による部活動のレベルアップも期待できるが、人材の確保が課題。プラン策定への調査を進めた中尾豊喜准教授は「地域差はあるが、報酬は大半が時給2000円未満。退職教員、企業から担い手を募るのは難しい」と指摘する。

一方、教員を目指す学生にとっては、部活動指導の経験は自身への投資。中尾准教授は「必要な知識を身につけ質を高める必要があるが、競技力のある学生は部活動を支える人材になりうる」と期待する。

ただ、大体大が実施した全国の教育委員会へのアンケート調査では、学生を任用する自治体は1割強と少なく、政令市など都市部に偏る。「学生の資質に懐疑的な見方もあり、人材として認めてもらう努力が必要」(中尾准教授)として、指導に必要な知識、ノウハウを学ぶ全10回程度の研修を実施する計画だ。

教員・生徒らとの意思疎通、安全への配慮、体罰厳禁の倫理など学ぶべきことは多い。だが、大学が品質保証することで任用の道が広がれば、有力な救援部隊になる。ICT(情報通信技術)を使った映像による遠隔指導なども可能性を広げそうだ。(影井幹夫)

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