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「仕方ない」「振り回された」 五輪延期、各地に衝撃

国立競技場の近くに設けられた五輪マークのモニュメント(24日、東京都新宿区)

東京五輪開催まで4カ月となった24日、関係者に衝撃が走った。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、開催を1年程度延期するという安倍晋三首相と、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の合意。「やむをえない」「振り回されっぱなしだ」。準備を重ねてきた各地の自治体関係者は驚き、延期となった聖火リレーのランナーは落胆した。

「中止がないということが確認されて、2021年の夏までというゴールが具体的になった」。24日夜、安倍首相らの電話協議に同席した東京都の小池百合子知事はこう評価した。橋本聖子五輪相も「相当な不安、困難に直面していたと思う」と元オリンピアンらしく選手を思いやり、「会場や経費の問題などを同時にやっていかなくてはならなくなる」と表情を引き締めた。

ただ会場がある自治体には戸惑いが広がる。県東部が自転車競技の会場になっている静岡県の県庁舎では24日夜、五輪担当部署の職員ら約10人が残り、聖火リレーの方式変更への対応に追われていた。そこに飛び込んだ「1年程度の延期」の一報。職員らは驚いた。

ある担当職員は「五輪開催は安心安全が最優先で、延期はやむをえないのではないか。完全な形で大会が開催されるのが何よりだ」と話す。

セーリングなど4競技が開催される神奈川県でも幹部職員らが庁舎に残り、電話協議の結果を待っていた。

セーリング会場となる「江の島ヨットハーバー」には普段、一般客所有のヨット約700艇が係留されている。7月の競技開催に向け、1月中旬から1カ月以上かけて600艇超を会場外の港などに移動させたばかり。「所有者一人ひとりにお願いし、陸路や海路でなんとか移動を進めてきた」と担当者は苦労を語り「1年延期となると、ヨットを戻すかそのまま外に置いておくか、判断に迷う」と戸惑った。

「ここまで状況が大きく変わるとは」。五輪期間中、野球やソフトボールの試合が行われる福島県の担当者は驚く。県内で26日にスタートする予定だった聖火リレーは新型コロナの感染拡大で、大会組織委が出発式を無観客で行うと17日に発表。24日にはリレーそのものが延期となった。

「感染症が原因なので仕方ないが、ここ数日は対応に追われっぱなしだった」。24日に県内に到着した聖火を「復興の火」として福島市で展示したところ、約3千人が見物に訪れた。担当者は「県民の五輪への関心は非常に高い。一番いい形で実施されるよう、今後も努力したい」と話した。

直前の延期にランナーからは失望の声も。26日に福島県内を走る予定だった福島市の桃農家、古山浩司さん(44)は「福島の農業が元気だと発信する機会だったのに」と悔しがった。28歳の時に広島市で被爆し、「平和な世の中への感謝の思いを胸に走りたい」と練習を重ねてきた広島県三次市の冨久正二さん(103)は「感染防止のためなら仕方がないが、生きる力になっていた」とうなだれた。

一方、延期後の日程に神経をとがらせるのは福岡市だ。21年7~8月に約190の国・地域から約2400人の選手が参加し、約50万人が来場する世界水泳が予定されている。「日程が重なることが分かれば対応しなければならない」と、主催者の国際水泳連盟と協議する方針。「日々感染が拡大する中で、我々だけが予定通り開催したいとは言いにくい」と言葉少なだった。

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