林死刑囚再審、高裁も認めず 和歌山毒物カレー事件
和歌山市で1998年、夏祭りのカレーを食べた4人が死亡した毒物カレー事件で殺人などの罪に問われ、死刑が確定した林真須美死刑囚(58)の再審請求で、大阪高裁(樋口裕晃裁判長)は24日、林死刑囚側の即時抗告を棄却し、再審を認めない決定をした。弁護団が明らかにした。
弁護団は再審開始要件の「無罪を言い渡すべき新証拠」として、祭り会場にあり、カレー鍋混入分の残りとされる紙コップのヒ素が、林死刑囚の自宅で見つかったものとは異なることが判明したと主張。京都大の研究者へ独自に依頼して調べた結果、事件当時に実施されたヒ素の鑑定は手法に問題があるとしていた。
しかし決定理由で樋口裁判長は、紙コップ内のヒ素は粉末として付着している程度で、鑑定のため科学警察研究所に送られるまでに検査などで試薬が加えられるなどし「カレー鍋混入時に含まれていた元素の組成比や成分比、濃度比をそのまま反映しているとみることはできない」と指摘。「元素や濃度の違いから、紙コップと死刑囚宅のヒ素が異なるとすることは適切でない」とした。
林死刑囚は捜査段階で黙秘を続け、公判で無罪を主張。2002年に一審和歌山地裁、05年に二審大阪高裁がいずれも死刑を言い渡し、09年4月に最高裁が上告を棄却しその後確定した。
同年7月に再審請求し、和歌山地裁は17年3月に棄却。林死刑囚側は不服とし、即時抗告していた。〔共同〕