石木ダム差し止め認めず 長崎地裁佐世保支部
長崎県と佐世保市が同県川棚町に計画する石木ダム建設に反対し、住民や支援者ら約600人が県と佐世保市を相手取って工事の差し止めを求めた訴訟の判決で、長崎地裁佐世保支部は24日、請求を棄却した。住民らは控訴する方針。

住民らは、ダム建設により豊かな自然環境の中で生活する権利が奪われると主張。平井健一郎裁判長は「主張は主観的で、保護すべき内容や権利が具体的に定まっていない」と退けた。住民らは、利水面からもダムの必要性はないと訴えていたが、判決は判断を示さなかった。
住民側の馬奈木昭雄弁護団長は判決後「裁判所が逃げた。行政へのそんたくだ」と批判した。
中村法道知事は「(住民には)判決の趣旨を理解し、事業への反対をやめてもらいたい」と話した。佐世保市の朝長則男市長は「事業の理解につながることを期待する」とコメントした。
石木ダムは佐世保市への給水や川棚町の治水が目的で、当初の完成目標は1979年度だった。2010年に水没道路の付け替え工事が始まったが、本体はいまだに着工していない。現在の完成目標は25年度。
19年11月、水没予定地に住む13世帯の明け渡し期限が過ぎ、県は行政代執行で土地・建物を強制収用できる状態になっている。住民らは一連の手続きの根拠となる国の事業認定の取り消しも求めたが、一、二審とも敗訴している。〔共同〕
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