中学教科書、全教科で「深い学び」 ページ数7%増

2020/3/24 15:51
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アクティブラーニングに関する記述が盛り込まれた理科と国語、歴史の教科書

アクティブラーニングに関する記述が盛り込まれた理科と国語、歴史の教科書

文部科学省は24日、2021年度から中学校で使う教科書の検定で106点が合格したと公表した。主体的に学ぶ姿勢を重視する新しい学習指導要領を踏まえ、各教科で生徒に深く考えさせる課題や議論を促す仕掛けが盛り込まれた。専門家は「教師の指導力がより重要になる」と指摘する。

文科省によると、合格した教科書の平均ページ数は前回の14、17年度の検定分に比べて7.6%増えた。新指導要領が掲げる理念「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニング)の実現に向け、各教科で課題の文章が長くなり、図表が増えたためだ。

ある教科書会社は、数学のほぼ全ての章で、生徒にも身近な生活の場面を通して数学的な考察を促すページを設けた。

例えば1年生の「比例と反比例の利用」の章では、行列に並んでポップコーンを買う場合の待ち時間を考えさせる。待ち時間と並ぶ人数が比例の関係にあることを気づかせ、最後は比例の考え方を使って日常生活で予測できる事例を探させる。同社の担当者は「現実の問題にぶつかったときに、どうしたら解決できるか考えられる力を身につけてほしい」と話す。

対話を促す仕掛けは各教科に盛り込まれた。ある歴史教科書は江戸時代の赤穂事件を題材に、幕府による赤穂浪士の処罰の評価をグループで話し合う内容を載せた。

保健体育で、中学生の起床から就寝までのスケジュール、食事内容の例を示し、改善案について意見を交わすページを設けた教科書もあった。

溝上慎一・桐蔭学園理事長(教育学)は「教師が一方的に教える形式に比べ、生徒同士の対話などを重視するアクティブラーニングは、授業をつくる教師の指導力がより問われる」と指摘。教育委員会などによる研修を充実させるよう訴える。

英語の教科書では国際化を踏まえ、「読む・聞く・書く・話す」の実践的な力をつける工夫が各社に見られた。即興で話す力を育てようと、自己紹介や自分の日常についてその場で話す課題を採用した教科書もあった。

教科書検定は、教科書が学習指導要領に則しているかなどを審査し、合格すれば学校での使用を認める制度。記述の誤りなどについて検定意見が付された場合、教科書会社は内容を修正して再審査を受ける。

今回の検定は検定意見の総数が前回より121件増の4775件となり、歴史と技術の教科書の計4点が不合格になった。うち技術1点は再申請して合格した。

一方、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらが執筆した自由社の歴史教科書は、検定意見が一定数以上付くと年度内の再申請を認めない「1発アウト」の新ルールが初適用され、不合格となった。同会は「結論ありきの不正な検定」として文科省に抗議した。

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