前衛芸術グループ結成から60年、ネオ・ダダの痕跡
伝統打破の新たな表現とメンバーの今

文化往来
2020/3/27 2:00
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「ネオ・ダダの痕跡」展では、赤瀬川原平の未公開ペン画などが展示されている(東京・銀座のギャラリー58)

「ネオ・ダダの痕跡」展では、赤瀬川原平の未公開ペン画などが展示されている(東京・銀座のギャラリー58)

1960年に結成された前衛芸術グループネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ(ネオ・ダダ)に参加した中の5人のメンバーの作品を集めた展覧会「ネオ・ダダの痕跡」が東京・銀座のギャラリー58で開かれている(4月4日まで、日曜休)。赤瀬川原平(37~2014年)の初公開となるペン画12点や篠原有司男と吉野辰海の新作も展示されている。

60年代に描かれた赤瀬川の作品は、フロイトの弟子の精神分析学者、ウィルヘルム・ライヒの本の挿絵として制作された。顔の抜け落ちた人物などシュールな作品が並ぶ。183×435センチの大作を寄せたのは今はニューヨークを拠点に活動する篠原。1月に訪れたパリでの体験をキャンバスにそのまま反映した。篠原は「自分が感動したものを人に伝えたいと思って描いた『考えない写実画』」と語る。大胆な色を使い、カフェで食べた朝食やルーヴル美術館のピラミッドなどがダイナミックに描かれている。吉野は長年取り組んでいる犬がモチーフの作品を出品。繊維強化プラスチックでできた立体作品は、切断された胴体部分の中が空洞になっている。「犬の表層を通して生命を表現してきた」(吉野)という作品は暗示的だ。

結成された60年は日本が高度経済成長期に沸く一方、安保闘争が起こり、人々が体制の打破や変革を求めた時代。ネオ・ダダもその中で、過激なイベントやパフォーマンスを繰り広げた。吉野は「メンバーには既存の芸術を打破し、新しいものを生み出していこうという気持ちに満ちていた」と振り返る。それから60年。現在80歳の吉野は「ほとんどのメンバーが80歳までたどりつけなかった。でも死に物狂いで、新しい表現に挑み、創って死んでいった。(自分も)その気持ちは今も変わらない」と話す。

(赤塚佳彦)

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