NY、外出制限で見えた「欠かせない」仕事の担い手

2020/3/24 1:37
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スーパーの店内は顧客よりも、客の注文をピックアップする従業員が目立つ(23日、ニューヨーク)

スーパーの店内は顧客よりも、客の注文をピックアップする従業員が目立つ(23日、ニューヨーク)

【ニューヨーク=大島有美子】ニューヨーク州で22日夜、企業に全従業員の在宅勤務を義務付け、不要不急の外出を控えるよう強く求める措置が始まった。オフィスへの通勤客や、買い物客が消えたマンハッタンに残るのは「在宅勤務ができない」人々だ。生活に不可欠な業種で仕事を続ける光景を追った。

23日午前、スーパーマーケット「ホールフーズ」のある店では、店内の客をわずか50人に制限していた。出口に監視員を置き、客が1人出れば、インカムで入り口の従業員に連絡し、客を1人中に入れるよう促す。人が密集しないよう「ソーシャル・ディスタンス(人と人との距離)」を保つよう、州から求められているための対応だ。

店内で客よりも多かったのが、「アマゾン・ドット・コム」経由で注文を受けた食品をピックアップする従業員たちだ。青いプラスチック製の手袋をつけた上で、スマートフォンで注文を照らし合わせながら、野菜や肉を、一つ一つビニール袋にくるんだ上で紙袋に詰めていく。

黒人の女性店員は「きょうはスタッフ全員が出勤。注文が大量にきて忙しい。収入はいいけれど」と話す。別の女性店員も「朝7時から働いている」という。出勤している従業員の多くは黒人やヒスパニック系だ。各レジには顧客と従業員を仕切る透明な板が設置されていた。

医療機関、水や電気などインフラ整備、食料加工、食品スーパー、ゴミ収集、子どものケア、銀行、ビルの警備、物流――。州の在宅勤務義務から対象外となった「不可欠な」業種の例だ。その多くが流通・サービス業だ。

買い物客が消えたマンハッタンの中心部、5番街。営業休止中の高級電気製品店の前では、男性警備員が1人仕事をしていた。

営業を休止している高級電気製品店では警備員だけが仕事を続けていた(22日、ニューヨーク)

営業を休止している高級電気製品店では警備員だけが仕事を続けていた(22日、ニューヨーク)

テークアウトやデリバリーだけ許可されたピザ店からは、男性が注文品を入れた専用のリュックサックを背負い、自転車を走らせていった。

人けのない街で、ピザの配達をするフードデリバリーの男性(23日、ニューヨーク)

人けのない街で、ピザの配達をするフードデリバリーの男性(23日、ニューヨーク)

道に止めたトラックから配管を取り出す2人の男性が作業を続けていた。アマゾンの荷物を降ろす男性はマスクを着用。銀行は営業を続けているが、時間を短縮している店が目立った。

配管工事向けとみられるパイプを運ぶ男性(23日、ニューヨーク)

配管工事向けとみられるパイプを運ぶ男性(23日、ニューヨーク)

銀行は営業時間を短縮。アマゾンの荷物を運ぶ男性が通り過ぎた(23日、ニューヨーク)

銀行は営業時間を短縮。アマゾンの荷物を運ぶ男性が通り過ぎた(23日、ニューヨーク)

散歩やジョギングをする白人は見かけたが、外で仕事に携わっていた人はほぼ有色人種だった。

全米の雇用統計では、16歳以上の就業者数のうち黒人が12%、アジア系が6%、ヒスパニック系が18%と推計されている。食品店はヒスパニック系、子どものケアや輸送分野は黒人の割合が全体平均を上回る。ニューヨークに限れば、これらの業種で働く有色人種の割合はさらに高いとみられる。

一方、業種別の賃金(全米)は、2月時点で流通業が週間平均で620ドルと情報系(1557ドル)や金融(1386ドル)の半分以下だ。

ニューヨークは普段は白人、黒人、アジア系、ヒスパニック系と様々な人種の住民が街を歩き、多様性が特徴かつ強みとされている。人が消えた街は、その多様性が職種によって偏っているという現実を浮き彫りにした。

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