「帰国者からクラスター」厳戒を 都市部の対策重要に

2020/3/23 18:54
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顔を覆う透明なフェースシールドとマスクを着用し、旅客(後ろ姿)を誘導する成田空港検疫所の関係者。海外から帰国した人の感染判明が増えている(21日)=共同

顔を覆う透明なフェースシールドとマスクを着用し、旅客(後ろ姿)を誘導する成田空港検疫所の関係者。海外から帰国した人の感染判明が増えている(21日)=共同

海外から帰国した人で、新型コロナウイルスの感染確認が相次いでいる。3月以降、空港の検疫で感染が確認されたのは欧州を中心に計18人(23日現在)。さらに検疫では確認されず国内で発症するなどして判明した人が各地で確認されている。専門家は「今後、1~2週間以内に帰国者を起点とする感染の連鎖が形成される可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。

「1、2月の状況とは全く異なる状況にある」。厚生労働省が設置したクラスター(感染者の集団)対策班は現状分析した結果を東京都に文書で伝えている。海外での感染拡大を受け、帰国する日本人が増えており、「第1波の中国・武漢からの感染者数とは桁外れの感染者が今後、入国してくる」からだ。

22日にも、英ロンドンに約2週間出張していた東京都在住の60代男性が空港に到着後、頭痛を訴えたため検査したところ、感染が確認された。

同省によると、横浜港に寄港したクルーズ船と中国からのチャーター機で帰国した人を除くと、日本の検疫で新型コロナウイルスの感染を確認されたのは23日までに18人。初めて確認されたのは4日で、東南アジアから中部国際空港に帰国した40代男性だったが、ほとんどはイタリアなど欧州からの帰国者だ。

検疫での感染確認は20~40代の若い世代が多いのが特徴で、18人のうち13人は無症状だった。厚労省が検疫を強化しているため感染を確認できたが、新型ウイルスは潜伏期間が2週間に及ぶケースもある。検疫を強化しても"すり抜け"が起きる。

実際、18日には岐阜市で米ニューヨークに渡航した50代男性、愛知県でフィリピンから帰国した40代女性と10歳未満の小学生女児、千葉県で欧州から帰国した30代男性など計7人が国内で感染を確認されるなど、すり抜けが相次いでいる。

厚労省のクラスター対策班が最も恐れているのは、検疫をすり抜けた帰国者が起点となって人口の多い都市部でクラスターが発生し、さらにクラスターが連鎖して大規模な「メガクラスター」が起きることだ。

ひとたびメガクラスターが起きると、欧米で起きている爆発的な患者の増加(オーバーシュート)に陥る。対策班は東京都に示した文書で「そのような状況になるとクラスター対策だけで流行を抑制することが困難となり、強力な社会的隔離政策を取る以外に選択肢がなくなる」と指摘する。

顔を覆う透明なフェースシールドとマスクを着用し、旅客(後ろ姿)を誘導する成田空港検疫所の関係者。海外から帰国した人の感染判明が増えている(21日)=共同

顔を覆う透明なフェースシールドとマスクを着用し、旅客(後ろ姿)を誘導する成田空港検疫所の関係者。海外から帰国した人の感染判明が増えている(21日)=共同

対策班によると、メガクラスターは、軽症者が多い若年層と、人口自体も多い大都市圏で起きる可能性が高いという。対策班は感染が確認されている現状より深刻な状況になっていると考えられる地域として札幌圏、首都圏、中部圏、近畿圏を挙げている。

特に東京では感染源が分からないケースが増えている。対策班は東京都に対し「全国への人の移動のハブ(中枢)である東京で大規模な流行が起こると、中高年層で重症者が多発する。東京で積極的な対策を行うことは日本全体にとっても重要」として、より積極的な対策を求めている。

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