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ヤンキース田中のぶれない姿勢 契約最終年にコロナ禍

スポーツライター 杉浦大介

新型コロナウイルスの猛威によってメジャーリーグのオープン戦は中止され、3月下旬に予定された開幕も遅れることが決まった。今季はいったいいつ始まり、何試合が行われるかもわからない状況。先の見えない日々の中で、メジャーリーグに関わる誰もが不安な日々を過ごしている。

契約最終年の今季、田中は開幕に向けて順調に仕上がっていた=USA TODAY

他のすべての選手たちと同様に、ヤンキースの田中将大も新型コロナウイルスによって大きな影響を受けることになりそうだ。今季の田中は7年契約の最終年。大切ではないシーズンなどないが、2020年の働き次第で来季以降の契約も変わってくるという意味で、田中にとって特に重要な1年になるはずだった。

今春、オープン戦では防御率2.08と絶好調。課題として挙げていたカーブ、カットボールの修正は順調で、フォーム変更のおかげで速球の球速もアップした。

「(複数の球種を)計画通りに試し、仕事を遂行し、同時に良い結果も残した。勇気づけられる投球だった」

3月8日(日本時間9日)に迎えた最後のオープン戦登板のあと、今季からヤンキース入りしたマット・ブレーク投手コーチもそう語り、田中の状態の良さに太鼓判を押していた。実際に最後の2戦では合計6回2/3を1安打無失点と完璧だっただけに、このまま好調を保って開幕を迎える可能性は高かったはずだ。

先の見えない仕切り直しへ

そんな最中でのメジャーリーグの活動停止。田中も順調だった調整を中断し、ここから先の見えない仕切り直しを余儀なくされることになった。

コロナによる被害悪化を考えれば、今シーズンが本当に行われるのかはもう定かではない。いずれ開幕するとしても、試合数が削減される可能性も十分。メジャーデビューから昨季まで6年連続10勝以上という田中の記録継続にも黄信号が灯った。影響を受けたのはメジャーの全選手が同じことだとしても、契約最終年の中断は、田中にとって最悪に近いタイミングにも思えてくる。

ただ、心強いのは、この厳しい状況下でも田中の姿勢にはブレがなかったことだ。15日、フロリダ州タンパのキャンプ地でオープン戦中断以降では初めてメディア対応した際も、その冷静な口調は変わらなかった。もちろん無念そうではあったが、どうすることもできない事態と受け止め、「野球よりも大事なことっていうのがありますから」と静かに語った。

15日の練習後、報道陣の取材に応じるヤンキースの田中(左)=共同

20代半ばで渡米した田中も、昨年11月で31歳。過去6年の間に故障、不振、新しいボールへ対応といった様々な試練を乗り越え、その過程で精神的に成熟した部分は確実にあるはずだ。今ではメジャーでもベテランと呼べる立場になった背番号19は、ここでまた誰もが未体験の事態への適応に臨むことになる。

「(調整のペースは一旦)落とすと思います。(開幕の)ターゲットとなる日が決まってすぐ始まるということはないとは思うので、ある程度少し準備する期間というものが出てくると思う。そこに来た時にしっかりと上げられる状態だけは保っておきたいと思います」

開幕からの逆算が不可能な中での調整が、誰にとっても至難であることは言うまでもない。それでも先の見えない戦いの中で、過去6年に養った経験値と適応能力が生きてくる時間は必ずあるはずだ。

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