ドイツ、追加予算18兆円規模に 借金ゼロは棚上げ

2020/3/22 5:47
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【ベルリン=石川潤】ドイツのメルケル政権は21日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、1500億ユーロ(約18兆円)規模の追加予算を計上する方針を固めた。23日に企業の資金繰り支援を軸にした新型コロナ対策を決定する見通しで、追加予算を含めた対策全体の規模はさらに大きくなる。財政黒字を維持して新規の国債発行をゼロにする健全財政路線の継続は断念する。

健全財政路線の棚上げを決めたメルケル首相(右)とショルツ財務相=AP

健全財政路線の棚上げを決めたメルケル首相(右)とショルツ財務相=AP

ショルツ財務相が同日、2020年の補正予算を編成する考えなどを明らかにした。ドイツでは新型コロナの感染者が2万人を突破し、死者も増え始めている。企業の資金繰り不安が高まるなか、「はっきりとした力強いメッセージを送ることが重要」(ショルツ財務相)と判断した。

ロイター通信は同日、追加予算を含む経済対策の規模は全体で「7500億ユーロ(約90兆円)を上回る」と報じた。零細企業や個人事業主への支援のほか、企業の資金繰り支援を行うドイツ復興金融公庫への信用供与も盛り込まれる。

さらに「経済安定ファンド」を設置し、企業の債務を最大4000億ユーロ保証するほか、経営が危うくなった大企業への出資などを進める。信用不安が広がって企業破綻が連鎖する事態を避け、ドイツ経済への悪影響を最小限に食い止める。

こうした対策を進めることで、ドイツ政府の20年の財政収支は赤字に転落する見通しだ。メルケル政権は19年まで6年連続で新規の国債発行をゼロとしてきたが、大規模な国債発行が避けられない情勢となった。

ドイツでは基本法(憲法)で均衡財政が義務付けられており、新規国債の発行は国内総生産(GDP)の0.35%までしか許されていない。ただ、自然災害や国が制御できないような緊急事態の場合には例外が認められており、今回はこの規定を適用する。

これまで健全財政を続けてきたドイツの10年債利回りはマイナスで、国債を発行してもコストが掛からない状況となっている。こうした市場環境がドイツ政府の背中を押した面もある。

欧州最大の経済大国で信用力の高いドイツが財政出動に動いたことで、欧州のほかの主要国も追随する可能性が高い。欧州中央銀行(ECB)は18日の緊急理事会で国債などを年末までに7500億ユーロ(約90兆円)追加購入すると決めており、債券市場での金利への上昇圧力を抑える方針だ。

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